付上(読み)つけのぼせ

精選版 日本国語大辞典 「付上」の意味・読み・例文・類語

つけ‐のぼせ【付上】

〘名〙
① (「つけ」は番頭などを付き添わせていくところから) 江戸時代商家雇人を解雇して上方へ帰すこと。また、その雇人。つけのぼし
洒落本・禁現大福帳(1755)一「亭主なれば分散主持は付登(ツケノボセ)の顔へ嘘吹の面かぶらねば裁許済ぬ事なり」
相手の好遇に甘えて夢中になること。
※洒落本・京伝予誌(1790)大楽一年の大紋日月見と祭礼とを兼備したる遊び、千日にかった茅も一夜にほろぼしてつけのぼせとなり」

つき‐あがり【付上】

〘名〙 相手がきびしくないのにつけ込むこと。図にのること。つけあがり。
咄本・私可多咄(1671)四「昔、ほめられてつきあかりする者有」
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)五「よはみを見せるとなをつきあがりがする」

つけ‐あ・げる【付上】

〘他ガ下一〙 つけあ・ぐ 〘他ガ下二〙 買い手が、対象物を手に入れたいため、物の値段などを次第次第に高くする。上積みする。
浮世草子世間娘容気(1717)三「性悪の娘のしぞこなひ、今さらとりかへしがならず、だんだんつけあげ弐百五十両にして起請の外にかまひないといふ一札させて」

つけ‐あが・る【付上】

〘自ラ五(四)〙 相手の寛大さにつけこんで増長する。いい気になって思いあがる。図に乗る。
浄瑠璃源平布引滝(1749)三「ヤア女と思ひ用捨すりゃ、付上ったるひっ切め」

つき‐あが・る【付上】

〘自ラ四〙 相手がきびしくないことにつけこむ。図にのる。増長する。つけあがる。
※浮世草子・諸道聴耳世間猿(1766)三「つき上った事ながら、一宿御無心申そうかと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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