国指定史跡ガイド 「仙台藩花山村寒湯番所跡」の解説
せんだいはんはなやまむらぬるゆばんしょあと【仙台藩花山村寒湯番所跡】
宮城県栗原市花山にある仙台藩の口留(くちどめ)番所の跡。口留番所は藩の境界線で交通・交易を見張る関所のこと。境目番所とも。一迫(いちはさま)川の上流、仙台藩の西北にあたる、秋田藩領と接する山峡の「花山越え」と呼ばれる要衝に置かれた。寒湯の名称は、もとは近辺にある温泉の名前だが、明治以降、温泉のほうは「温湯(ぬるゆ)」という表記になっている。現在、街道は番所跡をよけて通っているが、当時は表門から検断所(検問する施設)の前を通っていた。安政年間(1854~60年)の初期に改築され、検断所の建物は失われたが、表門と役宅が残る。1963年(昭和38)に国指定史跡となった。表門は当時の街道をまたいで設けられた茅葺き切り妻造りの四脚門で、伊達家の紋を配し、釘を使わずくさび止めした総ケヤキ造りである。役宅は幅約23m、奥行き約12mで一般民家の形式ではあるが、座敷は書院造り。口留番所・境目番所の遺構は全国的に少なく、貴重な史跡である。一般公開されているが、冬季の12月から3月までは閉館。東北自動車道築館ICから車で約55分。