日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊倉」の意味・わかりやすい解説
伊倉
いくら
熊本県玉名市(たまなす)の一地区。かつての伊倉荘(しょう)で、古代は丹倍津(にべつ)とよばれ、加藤清正(きよまさ)による菊池(きくち)川掘替え工事(1605)まで港として栄えた唐人(とうじん)川筋の河港で、文禄・慶長の役(ぶんろくけいちょうのえき)には肥後(ひご)(熊本県)における朝鮮への出入港泊地にもなった。近世は、新興の大浜港の後方基地として、また職人町(鍛冶(かじ)職人)を有する在町として、JR鹿児島本線が開通(1891)し、その交通体系が変わるまで、町のにぎわいは維持されていた。1351年(正平6・観応2)建立の伊倉南・北八幡宮(はちまんぐう)や明(みん)人郭(かく)氏の墓がある。
[山口守人]