伊奈院(読み)いないん

日本歴史地名大系 「伊奈院」の解説

伊奈院
いないん

上県郡にみえる古代の地名。「和名抄」の上県郡伊奈郷を継承すると考えられ、寛仁三年(一〇一九)七月一三日の大宰府解(小右記寛仁三年八月条裏書)に「上県郡伊奈院司」とある。これは大宰府が伊奈院司および対馬島司の報告を受けて政府に報じたもので、この年の刀伊の入寇に際して、対馬島の判官代の長岑諸近が「刀伊族徒」に連去られた母・妻子を探して高麗に渡ったという。この院の当時の性格は明らかでないが、鎌倉期にも高麗使・元使が伊奈浦に来航したことから伊奈院は外使に応接する任があったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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