朝日日本歴史人物事典 「伊庭可笑」の解説
伊庭可笑
生年:生年不詳
江戸中期の戯作者。『戯作者考補遺』によると享年は37歳。安永8(1779)年以降,黄表紙に34部の作品があるが,特に天明1,2(1781,82)年はいずれも10部以上を刊行し,3年に没していなければ,黄表紙の全盛期を迎えて,その重要作者のひとりになるのは確実だったろう。流行風俗の描写にすぐれ,しかも教訓の意を失わぬ作風はいかにも黄表紙らしく,大田南畝の黄表紙評判記『菊寿草』や『岡目八目』でも,おおむね好評を得ている。安永8年以前にも無署名刊行作があるであろうことは棚橋正博『黄表紙総覧』にも指摘される。
(中野三敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報