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鉢木 はちのき

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鉢木
はちのき

(1) 能の曲名。四番目物 (→雑物 ) 。現在物。作者未詳。旅の僧 (実は北条時頼) が大雪の夜,佐野源左衛門常世のわび住いに宿り,秘蔵の鉢の木を焚いてもてなされる。のち鎌倉に帰った時頼は,幕府の危急の際にははせ参じるという常世の言をためすため,諸国の軍勢を集めるが,常世が言葉どおりにはせ参じたので,鉢の木の梅,桜,松に縁のある領地を与える。

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デジタル大辞泉の解説

はちのき【鉢木】[謡曲]

謡曲。四番目物。零落の身の佐野源左衛門尉常世は、大雪の夜、旅僧に身をやつした北条時頼を泊め、秘蔵の鉢の木を焚(た)いてもてなし、いざ鎌倉のときの決意を語る。後日、それが報いられ、旧領の回復と鉢の木にちなむ三領地を与えられる。

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百科事典マイペディアの解説

鉢木【はちのき】

能の曲目。四番目物五流現行。作者不明。秘蔵の鉢植の木をたいて旅僧をもてなした貧しい武士が,のちに鎌倉に招集され,例の旅僧は北条時頼だったことを知る。〈能にして能にあらず〉といわれる人情話だが,雪の景の描写,人間の情誼の暖かさで好まれている。
→関連項目北条時頼

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世界大百科事典 第2版の解説

はちのき【鉢木】

能の曲名。四番目物。現在物。作者不明。シテは佐野源左衛門常世(つねよ)。ある雪の夜,上野(こうずけ)の佐野に着いた旅の僧(ワキ)が,常世の住む貧屋に宿泊を請う。いったんは断った常世だが,妻(ツレ)の言葉を受け入れて僧を連れ戻り,粟(あわ)の飯をすすめ,秘蔵の鉢植えの梅,松,桜を火にたいて,精いっぱいの歓待をする(〈上歌(あげうた)・クセ〉)。そして常世は,一族の横領にあってこのように落ちぶれているが,もし鎌倉に事が起きたら一番に駆けつけて命を捨てて戦う覚悟だと話す。

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大辞林 第三版の解説

はちのき【鉢木】

能の一。四番目物。所領を失っていた佐野源左衛門常世は、ある雪の夜、旅僧に身をやつした北条時頼を家に泊めて、秘蔵の鉢の木を焚いてもてなし、いざ鎌倉の際の覚悟を語る。後日、その誠実さが報いられ本領を安堵される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鉢木
はちのき

能の曲目。四番目物。五流現行曲。作者は不明。一族のために領地を奪われた上野(こうずけ)国の佐野源左衛門常世(つねよ)(シテ)は、妻(ツレ)とわびしく暮らしている。大雪の夜、1人の旅僧(ワキ)を泊め、秘蔵の鉢の木の梅・桜・松を焚(た)いてもてなし、いざ鎌倉というときは真っ先に馳(は)せ参ずる決意を語る。僧は実は各地の政治を視察していた最明寺(さいみょうじ)入道時頼(ときより)(後ワキ)で、その非常招集令にやせた馬にむち打ち、錆(さ)びた薙刀(なぎなた)を持った源左衛門(後シテ)が真っ先に駆けつけてくる。時頼は源左衛門の誠忠をたたえて、旧領の回復とともに、いつぞやの一泊の礼として梅・桜・松にゆかりの三領地を与え、全軍に不正に悩む訴訟あらば申し出よと告げる。源左衛門は喜び勇んで故郷へ帰っていく。封建時代にとくに好まれた能だが、雪の夜の人間的な連帯感が美しい。最明寺の巡視の話は、水戸黄門説話の原型でもあり、『増鏡(ますかがみ)』『太平記』などに載っているが、佐野常世の話はない。類曲に観阿弥(かんあみ)が得意としたという『横山(よこやま)』があり、零落した武士と妻と遊女の心意気を描く。1962年(昭和37)に復活上演された。[増田正造]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の鉢木の言及

【佐野源左衛門常世】より

…上野国佐野(現,高崎市内)の住人という。謡曲《鉢木》の主人公として名高い。鎌倉幕府の執権北条時頼が出家して最明寺入道となり,旅僧に身をやつして諸国行脚の途中,上野佐野で大雪に遭い,貧家に一夜の宿を借りた。…

【北条時頼】より

…《越中志徴》巻二の礪(砺)波郡西明寺村,《淡路名所図会》巻一の西明寺村,《下野国誌》芳賀郡益子郷西明寺,《新編相模国風土記稿》足柄上郡金子村最明寺,《蓮門精舎旧詞》巻二十五の信濃更級郡真島村最明寺,《越前国名蹟考》巻四の今立郡水海の最明寺堂など,いずれも時衆や遊行者の語りひろめた伝説の痕跡である。《増鏡》《太平記》に最明寺入道時頼の回国伝説がみえるが,謡曲《鉢木》は特に名高い。旅僧に姿をやつした時頼が上野の国佐野で大雪に道を失い,佐野源左衛門常世の零落した家に泊めてもらう。…

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