朝日日本歴史人物事典 「伊藤竜洲」の解説
伊藤竜洲
生年:天和3.4.14(1683.5.10)
江戸時代中期の漢学者。播磨(兵庫県)明石の人。名は道基,元基,字は小崇,通称は荘司。竜洲,宜斎と号す。本姓清田氏,私に荘蕭先生と諡す。京都に出て,伊藤坦庵の門に入り,その養嗣子となる。福井藩儒となり,伊藤家の名を貶めることがなかった。その学問は,経学だけに留まらず,歴史から諸子百家,野史小説まで幅広く,文章にこだわる態度も強い。『前太平記』を訳した『源家伝統録』や,『蒙求』風に4字の表題をつけ種々の本から説を引いた『三余清事』などの著述に,その一面をみることができる。
(高橋昌彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報