伐折羅(読み)バサラ

精選版 日本国語大辞典 「伐折羅」の意味・読み・例文・類語

ばさら【伐折羅・跋折羅・縛日羅・伐闍羅】

  1. ( [梵語] vajra の音訳。金剛と訳す )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 硬くてどんなものでも砕く鉱物といわれたもの。金剛石。金剛。智恵などの、堅固なことにもたとえる。ばしゃら。
      1. [初出の実例]「恭聞。嚩曰羅也者智。鉢納麼也者理」(出典:性霊集‐八(1079)大夫左衛佐為亡室造大日楨像願文)
      2. [その他の文献]〔金剛般若経疏〕
    2. むかし、インドで用いた武器をかたどったもので、密教煩悩を砕き、外部の魔神を降伏させる力を持つ象徴として用いる法具。独鈷・三鈷・五鈷などがある。金剛杵。金剛。〔十巻本和名抄(934頃)〕 〔金剛経纂要‐上〕
  3. [ 2 ] 十二神将の一つ。武装し、忿怒の姿をとるが、持物は一定しない。伐折羅大将。ばしゃら。〔薬師琉璃光七仏本願功徳経念誦儀軌供養法〕
    1. 伐折羅<b>[ 二 ]</b>〈奈良県興福寺〉
      伐折羅[ 二 ]〈奈良県興福寺〉

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の伐折羅の言及

【十二神将】より

…薬師如来の眷属(けんぞく)であり,薬師如来像の侍者として表現される。12尊の名称は諸説あるが,玄奘訳《薬師瑠璃光如来本願功徳経》には宮毘羅(くびら),伐折羅(ばさら),迷企羅(めきら),安底羅(あんてら),頞儞羅(あんにら),珊底羅(さんてら),因達羅(いんだら),波夷羅(はいら),摩虎羅(まこら),真達羅(しんだら),招杜羅(しやとら),毘羯羅(びから)と記される。12という数が中国において十二支と結びついたと推定され,やがて十二神将は昼夜12時をたえず護ると信じられるようになった。…

※「伐折羅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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