般若経典の一つ。サンスクリット名バジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミターVajracchedikā-prajñāpāramitā。サンスクリット本,チベット訳,漢訳が現存。漢訳は6種あるが,そのうち,鳩摩羅什(クマーラジーバ)訳《金剛般若波羅蜜経》1巻(5世紀初め)が広く用いられる。玄奘訳《大般若経》では第9会をなす。略称《金剛経》。本経の成立に関しては,他の般若経典に先立って成立したとする説と,他の般若経典に遅れてその要約として作られたとする説がある。内容は,祇園精舎における仏と須菩提(しゆぼだい)(スブーティSubhūti)の対話という形式で,般若思想の根幹を簡潔に説く。本経には〈空〉という術語は用いられていないが,その思想は〈空〉の思想といってよく,原始仏教以来追求されてきた種々の宗教的価値が固定化され,執着されることを否定し,否定を通して,より高い次元に宗教的価値を実現しようとしている。本経は,インドでは瑜伽行派によって,中国では禅宗において重んじられた。
執筆者:末木 文美士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…真実の智慧の完成)は他の五つすべての根底をなすものとして重視された。〈般若波羅蜜〉を強調する経典として《小品般若経(しようぼんはんにやぎよう)》《大品般若経》が挙げられるが,とくに一般に流行したものとしては《般若心経》《金剛般若経》がある。それらは《大般若波羅蜜多経》600巻(玄奘訳)として集大成された。…
…《八千頌》を増広したものとして《十万頌般若経》《二万五千頌般若経》などがあり,《二万五千頌》のクマーラジーバによる漢訳《大品(だいぼん)般若経》が中国,日本では最も重視された。逆に短いものとしては,《金剛般若経》《般若心経》などがよく知られている。密教化した《理趣経》なども般若経典の一部である。…
※「金剛般若経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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