改訂新版 世界大百科事典 「低周波誘導炉」の意味・わかりやすい解説
低周波誘導炉 (ていしゅうはゆうどうろ)
low-frequency induction furnace
商用周波数を用いた誘導溶解炉の一種。高周波誘導炉と異なり,周波数発生装置が必要ないため設備費が軽減される。連続溶解に適し,熱効率はよく,鋳鉄,銅合金などの溶解に用いられる。鉄心型(コア型,チャンネル型)とるつぼ型(コアレス型,無鉄心型)の2形式がある。(1)鉄心型炉 原理はトランスと同じで,鉄心に1次コイルが巻かれて,ここで発生する磁束は鉄心を通り,溝で2次コイル(溶湯)が形成されている。溝には溶湯が満たされており,誘導電流が生じて溶湯が昇温する。この溶湯が炉室の溶湯と対流で入れかわり,溶湯全体が昇温する。(2)るつぼ型炉 るつぼ型の炉室の外側にコイルを巻いたもので溶解速度は遅い。かくはん作用は溝型より強く,溶湯の均一化,添加合金類の溶解には有利である。
執筆者:梅田 高照
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報