改訂新版 世界大百科事典 「住宅統計」の意味・わかりやすい解説
住宅統計 (じゅうたくとうけい)
住宅に関する統計をいう。日本における最も基本的な住宅統計は住宅統計調査(総務庁統計局,1948年から5年おきに実施)で,住宅ストックの状況を把握している。サンプル数は多く,調査項目は住宅の建て方・構造・建築時期・所有関係・居住室の広さ・日照時間,世帯構成・世帯主年齢・人員・収入・職業,住居移動,借家の家賃,空家,居住水準などである。住宅統計調査が〈住宅〉を対象にしているのに対し,国勢調査(総務庁統計局,5年おき)は〈世帯〉を対象にした全数調査で,住居の種類・室数・畳数,世帯の種類・世帯人員などが調査項目に含まれている。これに対し住宅着工統計調査(建設省,毎年)は新設住宅の床面積・建設費・所有関係・公的資金の利用状況などフローを対象とする。住宅需要実態調査(建設省,5年おき)は住宅困窮度・困窮理由など居住者の住意識調査を含んでいる。サンプル数は少ない。住居費を扱った統計としては家計調査(総務庁統計局,毎月),全国消費実態調査(同,5年おき),貯蓄動向調査(同,毎年)がある。そのほか政府機関や自治体による単発調査がある。1980年空家実態調査(建設省住宅局)は,全空家のうち有効空家(最低居住水準を満たし,かつ入居者募集中のもの)は44.2%しかないことを明らかにした。1970年厚生統計地域傾向精密調査(厚生省)は住居と健康の相関を調査した。第2次大戦前の全国規模での住宅調査としては,全国24都市を対象とした大都市住宅調査(1941)が注目される。
執筆者:早川 和男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報