佚存叢書(読み)イツゾンソウショ

関連語 尾崎

精選版 日本国語大辞典 「佚存叢書」の意味・読み・例文・類語

いつぞんそうしょ【佚存叢書】

  1. 書名。林述斎の編。中国ではすでに散逸してしまい、日本にだけ現存していた漢籍を集めて叢書にしたもの。「古文孝経」以下一六種が収められている。寛政一一年(一七九九)から文化七年(一八一〇)まで、六回にわたって出版された。

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改訂新版 世界大百科事典 「佚存叢書」の意味・わかりやすい解説

佚存叢書 (いっそんそうしょ)

林述斎の編集した中国古書の叢書。寛政(1789-1801),文化(1804-18)年間に完成した。すべて中国本土では滅び,日本にのみ伝わる書物で,計17種。宋の欧陽修の《日本刀歌》に,〈徐福行く時書未だ焚(や)かれず,佚書百篇今なお存す〉とあるのによって名づけた。刊行は清の嘉慶年間(1796-1820)に当たるが,阮元(げんげん)は早速この中から《五行大義》《両京新記》などを取り,自分の編集する《四庫未収書目提要》中で紹介した。中国で全体の写真複製も行われ,今日のわれわれは中国版を手に入れるほうが容易である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佚存叢書」の意味・わかりやすい解説

佚存叢書
いっそんそうしょ

中国では散逸し,日本に伝わる中国の書籍(佚存書)を集めた江戸時代の叢書。林述斎編。60冊。寛政11(1799)年から文化6(1809)年の間に 6回にわたり刊行。『古文孝経』『五行大義』『臣軌』『楽書要録』『両京新記』『李嶠雑詠』『文館詞林』『文公朱先生感興詩一巻一冊』『武夷櫂歌一巻一冊』『泰軒易伝』『左氏蒙求』『唐才子伝』『王翰林集註黄帝八十一難経五巻』『古本蒙求』『崔舎人玉堂類稿西垣類稿竝附録二十二巻』『周易新講義』『宋景文公集』の 17種が収められている。いずれも高い価値をもつもので,まもなく中国に逆輸入されて中国の叢書に取り入れられ,近年には全部の影印本が出版されている。

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