日本大百科全書(ニッポニカ) 「五行大義」の意味・わかりやすい解説
五行大義
ごぎょうたいぎ
五行説の集大成。5巻。中国、隋(ずい)の蕭吉(しゅうきつ)撰(せん)。先秦(せんしん)より隋に至る経緯、諸子の書や史書などから五行に関する説を収集し、それを組織的に整理、分類して24段40節に構成し、ここに五行に配当されるすべての事項が包含されるとする。この書は『隋書』の「経籍志」にはその名がみえず、『旧唐書(くとうじょ)』の「経籍志」に「五行記」と、また『宋史(そうし)』の「芸文志(げいもんし)」に『五行大義』と記されているが、その後は中国では逸した。日本にはつとに伝わり、『続日本紀(しょくにほんぎ)』天平宝字(てんぴょうほうじ)1年(757)の条にその名がみえ、平安朝以後も盛行した。現在、元弘相伝本(げんこうそうでんぼん)、高野山本(こうやさんぼん)、天文鈔本(てんぶんしょうほん)などが伝存し、元弘本は1699年(元禄12)に校刊され、佚存叢書(いつぞんそうしょ)にも収められて中国に伝わり、かの地でも嘉慶(かけい)刊本など2、3が刊行された。
[中村璋八]
『中村璋八著『五行大義の基礎的研究』(1976・明徳出版社)』▽『中村璋八著『五行大義』(1973・明徳出版社)』▽『中村璋八著『五行大義校註』(1984・汲古書院)』