倒者(読み)たおしもの

精選版 日本国語大辞典 「倒者」の意味・読み・例文・類語

たおし‐ものたふし‥【倒者】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 主人他人に損や迷惑をかける者。文化(一八〇四‐一八)頃から上方流行語となり、人をののしっていうのに用いた。明治に及び、江戸にも移入された。ごくどうもの。〔大坂繁花風土記(1814)〕
    1. [初出の実例]「ええ、此のたほしものめ」(出典:歌舞伎・今文覚助命刺繍(不動文次)(1883)三幕)
  3. 芝居者仲間で、押し出しや風采は堂々としているが、芸の拙い者。見かけ倒し。
    1. [初出の実例]「歌舞妓楽屋通言〈略〉たをしもの、不吉もの」(出典:南水漫遊拾遺(1820頃)四)

たおれ‐ものたふれ‥【倒者】

  1. 〘 名詞 〙
  2. たおれて横たわっている者。路上にたおれ、あるいは死んだ人。ゆきだおれ。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「疝気のせへかどたまがやめて起られましねへ。其筈だア昨夜はひどく食ったぜ。ヲイ他の倒者(タヲレモノ)はどうだ」(出典滑稽本八笑人(1820‐49)初)
  3. 倒産した人。破産者
    1. [初出の実例]「守山の月も西へやたふれ者 椀箱すり箱水壺水海」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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