倭姫命世記(読み)ヤマトヒメノミコトセイキ

デジタル大辞泉 「倭姫命世記」の意味・読み・例文・類語

やまとひめのみことせいき【倭姫命世記】

神道五部書の一。1巻。神護景雲2年(768)禰宜ねぎ五月麻呂さつきまろの撰と伝えるが、建治弘安(1275~1288)のころ、伊勢外宮の神官渡会行忠わたらいゆきただの撰になったもの。天地開闢かいびゃくから、皇大神宮の各地御還幸、雄略天皇の代の外宮鎮座に至る詳細を記す。大神宮神祇本紀。

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精選版 日本国語大辞典 「倭姫命世記」の意味・読み・例文・類語

やまとひめのみことせいき【倭姫命世記】

  1. 鎌倉中期の神道書。一冊。禰宜五月麻呂が神護景雲二年(七六八)に撰したと伝えるが、偽書で、度会行忠が文永七~弘安八年(一二七〇‐八五)頃に撰したものかという。天地開闢にはじまり、皇居と神宮の分離、二四か所にもなる皇大神宮の遷幸のことなどを述べる。神道五部書の一つ。「大神宮神祇本記」の下巻にあたる。

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世界大百科事典(旧版)内の倭姫命世記の言及

【神道五部書】より

…《天照坐伊勢二所皇太神宮御鎮座次第記》は,天照大神と豊受大神の神格と,二神の伊勢鎮座に至るまでの次第を述べた書,《伊勢二所皇太神御鎮座伝記》は,神鏡の祭祀を中心に伊勢神宮の由緒を記し,《豊受皇太神御鎮座本紀》は,外宮の沿革を明らかにして内宮との関係を述べ,さらに外宮の祭儀を説明する。また《造伊勢二所太神宮宝基本記》は,両宮の殿舎の造営や形式などについて神秘的な解説を加え,《倭姫命世記》は,天地開闢以来の神々の祭祀について概観し,神宮の成立を説明する中で,神道の教説を明らかにしようとしている。中世には,神宮の伝承を歴史的に述べようとした前3書が神書として重んぜられていたが,近世になって山崎闇斎をはじめとする垂加流の神道家が,後2書の反仏教的な主張を高く評価したために,神道五部書という呼び方が一般にひろまった。…

※「倭姫命世記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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