日本大百科全書(ニッポニカ) 「債権者平等の原則」の意味・わかりやすい解説
債権者平等の原則
さいけんしゃびょうどうのげんそく
最終的に金銭に換算しうる債権は、すべて債務者の総財産を共同の担保としている(これらの債権は最終的には損害賠償債権に転化し、債務者の総財産から弁済を受けることを予定する)。したがって、債権の発生原因、発生時期の前後、債権額の多少にかかわらず、すべて平等に取り扱われるべきであって、とくにある債権者だけが優先的に弁済を受けることはできない、とする原則。この原則は、具体的には、たとえば次のような制度に現れている。すなわち、債権者取消権行使の効果が総債権者の利益のために生ずること、一債権者のなした債務者財産の差押えに対して他の債権者も配当加入ができること、破産手続の比例配当、などである。
債権者平等の原則の例外は物的担保制度である。すなわち、この場合には、当該被担保債権に対して優先弁済を受ける権利が認められている。
[淡路剛久]