債権者平等の原則(読み)さいけんしゃびょうどうのげんそく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

債権者平等の原則
さいけんしゃびょうどうのげんそく

最終的に金銭に換算しうる債権は、すべて債務者の総財産を共同の担保としている(これらの債権は最終的には損害賠償債権に転化し、債務者の総財産から弁済を受けることを予定する)。したがって、債権の発生原因、発生時期の前後、債権額の多少にかかわらず、すべて平等に取り扱われるべきであって、とくにある債権者だけが優先的に弁済を受けることはできない、とする原則。この原則は、具体的には、たとえば次のような制度に現れている。すなわち、債権者取消権行使の効果が総債権者の利益のために生ずること、一債権者のなした債務者財産の差押えに対して他の債権者も配当加入ができること、破産手続の比例配当、などである。
 債権者平等の原則の例外は物的担保制度である。すなわち、この場合には、当該被担保債権に対して優先弁済を受ける権利が認められている。[淡路剛久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の債権者平等の原則の言及

【債権・債務】より

…特定の人(債権者)が他の特定の人(債務者)に対して,一定の行為(給付)を請求する権利を債権といい,これを請求される側からいえば債務となる。たとえば,甲が乙に対して一定期日まで100万円を貸した場合に,期日がくれば,甲は乙に対して〈100万円を返せ〉と請求でき,これに応じて乙は100万円を返さなければならない。このように,債権者は債務者に対して債権を有し,債務者は債権者に対して債務を負担している。したがって,債権・債務は,同一の法律関係を権利者の側からみるか,義務者の側からみるか,の違いにすぎない。…

【担保】より

…このような意味において債務者の一般財産は債権の最後のよりどころであるといえる(債権者代位権および債権者取消権は,この一般財産の経済的価値を保全するために民法上債権者に付与されている権利である)。しかし,個別執行においても破産においても,複数の債権が競合するときは,それらの債権は,その成立の前後,成立の原因,その種類を問わず,原則としてすべてその債権額に比例して平等に扱われる(債権者平等の原則)。その結果,先に成立した債権も,その後に成立した債権により,その経済的価値を害されるおそれがある。…

※「債権者平等の原則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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