精選版 日本国語大辞典 「傾れ」の意味・読み・例文・類語
なだれ【傾・雪崩・頽】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「なだれる」の連用形の名詞化 ) なだれること。
- ① 斜めに傾いていること。傾斜。特に、山や川岸などの傾斜している所。傾斜面。傾斜地。なだり。
- ② 傾斜地などに積もった雪が、傾斜面を一時に大量にくずれ落ちる現象。《 季語・春 》 〔運歩色葉(1548)〕
- ③ 一般に、くずれ落ちること。また、そのもの。
- [初出の実例]「露霜は月の有明のなだれかな〈貞徳〉」(出典:俳諧・誹諧発句帳(1633)秋)
- ④ 歌舞伎の大道具で、土手・坂道などに急な傾斜をつけること。
- [初出の実例]「高さ五尺、なだれ七尺ばかりのかき上げ土手」(出典:歌舞伎・鳴神(日本古典全書所収)(1742か))
- ⑤ 歌舞伎下座音楽の一つ。雪の場面で、積雪の一時にくずれ落ちる音を表わす囃子。大太鼓に長撥(ばち)を平らにつけて強く打つ。雪おろし。
- ⑥ 陶芸品で、釉(うわぐすり)が肩からなだれるようにさがっている状態をいう。
- [初出の実例]「なたれ一筋在」(出典:宗達茶湯日記(他会記)‐天文一八年(1549)正月六日)