僧祇戸(読み)そうぎこ(英語表記)Seng-qi-hu

精選版 日本国語大辞典 「僧祇戸」の意味・読み・例文・類語

そうぎ‐こ【僧祇戸】

〘名〙 中国、北魏時代に沙門統曇曜孝文帝に奏して置くことを許された農家。毎年六〇斛(こく)の粟を納入させ、僧院維持、凶年時の賑給にあて、北魏仏教の隆盛に大きく関係した。〔魏書‐釈老志〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「僧祇戸」の意味・わかりやすい解説

僧祇戸
そうぎこ
Seng-qi-hu

中国の北魏時代,僧曹 (僧を長官として宗教行政を司る役所) の管轄下におかれた特定の戸 (農家) 。曇曜が孝文帝に奏請して設置し,のち全国に広まった。僧祇戸は年 60斛 (こく) の粟を僧曹に納めた。これを僧祇粟という。僧祇粟は飢饉のとき困窮者を救済するのを本来の目的としたが,平年には貧民利息をつけて貸出され,また余剰は仏教事業に用いることが許された。僧祇戸の制度は北魏仏教教団の興隆を導く経済的基礎となったが,中央,地方の僧官がこれを悪用し,そのため弊害も多かった。

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世界大百科事典(旧版)内の僧祇戸の言及

【仏図戸】より

…これには重罪犯人や官奴があてられ,仏教の興隆にともなって北魏全土に普及した。曇曜は同時に毎年,粟60石を僧曹(宗教行政をつかさどる役所)に納める僧祇戸(そうぎこ)を置いて,教団の経済基盤をかためた。これがいつ廃止されたかはわからないが,寺戸とよばれる教団の隷属民は後世にも存した。…

※「僧祇戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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