日本大百科全書(ニッポニカ) 「充満式温度計」の意味・わかりやすい解説
充満式温度計
じゅうまんしきおんどけい
filled-system thermometer
温度の高低を圧力の大きさに変換して測定する方式の温度計。液体または気体の熱膨張を利用するものと、温度による蒸気圧の変化を利用するものとがあり、一定の物質を計器内に充満・密閉して用いるもので、従来は圧力式温度計ともいわれた。構造は、感温部、導管、指示部からなり、指示部にはブルドン管圧力計に似た計器が用いられる。導管の長さは普通、数十センチメートルから数十メートルで、電気などのエネルギーを外部から供給しなくても遠隔測定を行えることが最大の特徴である。測定温度や状況に適した感温物質(水銀、ケロシン、ヘリウムガスなど)を選び、数十℃の温度範囲を1~2℃の精度で測る目的に用いる。
[三井清人]