家庭医学館 「先天性鼻涙管閉塞」の解説
せんてんせいびるいかんへいそく【先天性鼻涙管閉塞 Congenital Occulusion of the Nasolacrimal Duct】
涙は上まぶた(眼瞼(がんけん))の奥(外上方)にある涙腺(るいせん)から分泌(ぶんぴつ)され、目の表面をうるおした後、涙点(るいてん)という排水口(まぶたの内側の縁に上下各1個ずつある)から涙のたまる袋(涙嚢(るいのう))を通って、鼻の奥に排出されていきます。涙点から先は、いわば涙の下水管で、涙嚢から鼻の奥までは、鼻涙管(びるいかん)という管が骨を貫いて通っています。
この管は、生まれる前に通じているのがふつうですが、まだ貫通していない状態で生まれることがあります。これが先天性鼻涙管閉塞です。
[症状]
涙の排出路が閉塞しているために流涙(りゅうるい)がおこります。何でもないときに、涙が片方の目だけから出ている状態です。これに細菌感染が加わると、新生児涙嚢炎(しんせいじるいのうえん)(「新生児涙嚢炎」)になります。
[治療]
鼻涙管の閉塞は、薄い膜1枚だけによることが多く、これをブジーという細い針金のようなものを通すことで開通させることが、治療の基本となります。
ただし、この閉塞は自然に開通することが多いので、生後半年~1年くらいまでは、自然治癒(ちゆ)を期待することができます。
そのため、それまでは細菌感染の予防のために、抗生物質の点眼薬を用いてようすをみます。点眼した後は、涙嚢の部分をマッサージしてあげるとよいでしょう。