家庭医学館 「先天白内障」の解説
せんてんはくないしょう【先天白内障 Congenital Cataract】
生まれつき水晶体(すいしょうたい)が濁っているもので、別の眼異常、全身異常もときにみられます。
[原因]
遺伝的な素因によるものと胎内(たいない)感染によるものとがあります。感染の代表的なものには、妊娠初期に母親が風疹(ふうしん)に感染したことによる先天風疹症候群(せんてんふうしんしょうこうぐん)があります。
[症状]
子どもが周囲を見ないことや、白く濁った瞳孔(どうこう)で母親が気づきます。多くは両眼性(りょうがんせい)ですが、片眼性(へんがんせい)のこともあります。
混濁(こんだく)の程度はさまざまで、出生後に発生して進行することもあります。
[検査と診断]
白色瞳孔をおこす別の疾患との鑑別、風疹など母親についての既往歴の問診、目の先天性異常である小眼球(しょうがんきゅう)、眼振(がんしん)、斜視(しゃし)の有無の検査が行なわれます。また、目以外の異常にも注意します。
[治療]
視機能の発育途上にある乳幼児では、弱視(じゃくし)、両眼視機能の面を考慮し、生後すぐにも手術を含めた治療を行なう必要があります。混濁が強い場合は早期の手術が原則ですが、片眼性のものはあまりよくなりません。放置すれば弱視となり、その後の経過もよくありません。