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風疹 ふうしんrubella; german measles

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

風疹
ふうしん
rubella; german measles

ウイルスによる発疹性の急性感染症潜伏期は約 20日間で,発(→皮疹),リンパ節腫張,発熱が三大症状。かゆみを伴う赤い発疹が見られるが 1~2日で消失し数も少ない。麻疹はしか)患者の 80~90%に見られるコプリック斑は普通現れない。妊娠初期に母体が風疹にかかると,子供が先天性心疾患白内障をもって生まれたりする先天性風疹症候群になる可能性がある。治療薬(抗ウイルス薬)はなく対症療法のみとなるため,予防接種により,なるべく多くの人が免疫をもつ状態とし,感染が急激に拡大しないようにする社会防衛が最善の対策とされてきた。だが,予防接種にはわずかながら副作用があり,その害を問題視する意見がある。また個人の意思を尊重する観点から社会防衛の価値を強く否定する声もあり,特に日本では予防接種を受けない人が多い。日本でしばしば風疹が流行することに対し,欧米先進国からは「風疹輸出国」との批判的な見方もある。

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知恵蔵の解説

風疹

ウイルスが引き起こす感染症の一つ。感染すると2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、全身の発疹、耳たぶの後ろのリンパ節が腫れるなどの症状が現れる。熱も発疹も3日ほどでおさまることが多いため、「三日ばしか」ともいう。一度かかると体内に免疫ができるが、年数が経つにつれて免疫力が弱まり再感染することもある。また、感染しても発熱や発疹がなく、気づかないまま治るケースも最大3割ぐらいあるとみられる。麻疹(はしか)と似た症状を示すが、一般的に風疹のほうが症状は軽く、感染力も弱い。関節炎や血小板減少性紫斑病などが合併することもあるがだいたいは一過性である。
ただし、妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)といわれる障害が現れることがあるため、感染症法では5類感染症に指定され、2008年から発症数の全数把握が始まった。
発症後の特別な治療法はなく、熱が高い場合に解熱剤を用いるなどの対症療法が行われる。感染を防ぐためには予防ワクチンの接種が不可欠だが、日本では乳幼児の予防接種が任意だった時期(1989年4月~93年4月)や、定期接種が女子のみを対象としていた時期(77年8月~95年3月)があったことなどから、予防ワクチンによる免疫を持っている人と持っていない人が混在しているのが現状である。報告されている発症数は11年が378人、12年が2392人と増加。13年は5月19日までで前年1年間の3倍を超える7540人となっており、大都市を中心に大きな流行となっている。国内での感染者が増えているのは、11年から始まったアジアでの大流行で国外で感染し帰国した男性を介して拡大していったことが原因ではないかと推測されている。
なお、先天性風疹症候群は難聴、先天性心疾患、白内障、など様々な形で現れる。その発生頻度は妊娠1カ月までに風疹を発症した場合で50%以上、以下妊娠2カ月35%、3カ月18%、4カ月8%と下がっていき、妊娠21週以降であればほぼ影響はないとされている。ただし、妊婦に風疹の症状が出なかった場合でも、その時期に感染すれば胎児に障害が現れることもある。妊娠を予定している女性とそのパートナーには特に、予防ワクチンの接種が勧められる。

(石川れい子  ライター / 2013年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

風疹

ウイルスが原因で、くしゃみなどで感染する。防ぐには予防接種しかない。特に妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃん心臓病や難聴などの先天性風疹症候群(CRS)になるおそれがある。こうした赤ちゃんは昨年10月以降、全国で12人生まれている。予防接種の制度の変更もあって抗体を持たない世代ができ、1万人を超える患者の大半は20~40代の男性が占める。

(2013-07-02 朝日新聞 夕刊 1社会)

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デジタル大辞泉の解説

ふう‐しん【風×疹】

小児に多い発疹(ほっしん)性の感染症。学校感染症の一。感染症予防法の5類感染症の一。風疹ウイルスに感染して、全身に細かい発疹が出るが2、3日で消える。発熱・リンパ節腫脹(しゅちょう)などの症状も呈する。妊娠初期にかかると、胎児に奇形や障害の起こる率が高くなる。三日ばしか。

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百科事典マイペディアの解説

風疹【ふうしん】

三日ばしかとも。幼小児に多い風疹ウイルスによる伝染病。潜伏期約20日。はしかに似るが症状は軽く,発疹は1〜2日で消失。耳の後ろなどのリンパ節がはれる。1960年には,アメリカの内科医ウェラーがワクチンを開発した。
→関連項目学校伝染病奇形予防接種

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栄養・生化学辞典の解説

風疹

 ウイルス性疾患の一つ.発疹があるが,三日ばしかといわれるように,短期で消失し,あとを残さない.

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世界大百科事典 第2版の解説

ふうしん【風疹 rubella】

俗に〈三日ばしか〉とも呼ばれる。風疹ウイルスの感染によって起こる軽い発疹性伝染病であるが,妊娠初期の婦人が罹患すると,白内障,先天性心疾患,小頭症など各種の奇形や病変(先天性風疹症候群)をもったいわゆる〈先天性風疹児〉が高率に生まれることが知られてから,重要な伝染病としてクローズアップされた。流行は3~10年の間隔でみられ,春に発生の山があり,患者は小学生が多い。伝播は飛沫感染で,伝染期間は,発疹出現4~5日前から,その後1週間ほどである。

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大辞林 第三版の解説

ふうしん【風疹】

風疹ウイルスの感染により起こる急性の感染症。症状は軽症の麻疹はしかに似る。発熱と前後して発疹が現れ、二、三日で治る。妊娠早期に罹患りかんすると胎児に異常の生じる確率が高い。三日ばしか。

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知恵蔵miniの解説

風疹

風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症。患者の飛まつなどによって伝染し、2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱、リンパ節の腫れといった症状が現れる。主に春先から初夏にかけて流行し、幼少時に感染するケースが多い。日本国内では1994年以降、大流行はしていないが、小規模な流行や地域流行は見られており、特に2011年以降は増加傾向にある。近年は冬場にも流行が見られるほか、1994年まで風疹の予防接種が中学生の女子に限られていたことから、成人男性が感染するケースも増えている。2013年2月現在、男女とも1歳と小学校入学前1年間の計2回、無料の定期接種が行われており、2012年度中は中学1年生と高校3年生も無料接種の対象とされている。免疫のない女性が妊娠初期に風疹に感染すると、出生児に障害を引き起こす危険性もあるため、国は妊婦の夫や妊娠希望者など、成人への予防接種も呼びかけている。

(2013-2-12)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

風疹
ふうしん
rubella

麻疹(はしか)に似た発疹(ほっしん)ができる急性伝染病で、ドイツの医師により初めて記載されたので「ドイツはしか」ともいい、また症状が軽くて2~3日で発疹が消えるところから「三日はしか」ともよばれる。病原体はウイルスの一種で、飛沫(ひまつ)感染するが伝染力は麻疹ほど強くない。罹患(りかん)すれば終生免疫が得られる。冬から春にかけ主として小児の間に流行するが、成人では重症化傾向がみられ、とくに妊娠初期の女性が罹患すると、先天性風疹症候群の子供を出産する危険性があるので、臨床上では小児よりもむしろ成人に問題点がある疾患といえる。
 風疹は3~10年の間隔で周期的に流行し、潜伏期間は2~3週である。軽度の発熱とともに、小さい斑(はん)状の発疹が顔をはじめ全身にかなり密に現れるが、麻疹よりは小さく、3日くらいで皮もむけずに消えて色素沈着も残さない。熱は38~39℃にもなるがすぐ下がり、2~3日微熱が続くことが多い。咳(せき)や目やになどのカタル症状もごく軽い。全身のリンパ節が腫脹(しゅちょう)するが、とくに後頭部および耳後部や頸(けい)部の腫脹が特徴的で、軽い圧痛がある。血液像としては白血球の減少、異型リンパ球ないし形質細胞の増加がみられる。成人の場合には合併症として脳炎や血小板減少性紫斑(しはん)病などがみられるが、一般に予後はよい。また、成人女子の場合は発赤腫脹を伴う関節炎をしばしばおこす。
 なお、風疹患者の病原体排出期間は発疹の発現前後それぞれ約1週間とみなされ、この間は感染の可能性があるので留意する。
 風疹は軽症で特別な治療をしなくても全治するため、通常は安静と対症療法しか行われないが、他の疾患の感染予防の目的で抗生物質が使われることもある。予防には風疹ウイルスの生(なま)ワクチン接種が行われる。日本では1977年(昭和52)以来、先天性異常の発生防止を主目的として、妊娠前に免疫をつけるため、女子が13~15歳に達したとき風疹ワクチンの接種を受けることに決められていた。その後、89年(平成1)4月からは、生後12~72か月までの間の麻疹ワクチン定期接種時に、麻疹、風疹、おたふくかぜ混合ワクチン(MMRワクチン)の接種が選択できるようになったが、副反応として無菌性髄膜炎が多発したため、93年4月にはMMRワクチンは中止され、それぞれのワクチンの単独接種となった。95年4月からは、風疹の流行自体を防ぐために、生後12~90か月未満の男女に風疹ワクチンが接種されることとなっている。[柳下徳雄]

先天性風疹症候群

風疹ウイルスの垂直感染によって母親から胎盤を通じて胎芽にウイルスが伝播(でんぱ)し、胎児の各器官が形成される胎芽期の細胞分裂が妨げられて、白内障をはじめ、動脈管開存症などの心疾患や難聴など多彩な先天異常が新生児に残るものをいい、CRS(congenital rubella syndrome)と略称される。1941年にオーストラリアの眼科医グレッグNorman M. Gregg(1892―1966)によって発見・記載された。先天異常の発生頻度は妊婦の風疹初感染の時期によって異なり、だいたい妊娠第4か月以降には低下し、初期ほど高くなっているが、着床以前の妊娠第1か月前半(最終月経後14日間)の頻度は少ない。妊娠第2か月間に罹患すると白内障や心疾患、妊娠第3か月以降では聴力障害や網膜症がみられ、白内障や心疾患には難聴などを高率に合併し、発育・発達障害も伴いやすい。障害の頻度としては、難聴がもっとも多くみられる。
 なお、生後1週間に低出生体重、血小板減少性紫斑、肝脾腫(ひしゅ)、肝炎、溶血性貧血、泉門膨隆など多彩な症状がみられ、先天異常の永久的障害に合併することが多い。これらの多彩な症状をまとめて新生児急性先天性風疹とよび、先天異常を主にまとめたCRSと区別することもある。多彩な症状は多くの場合、2週間から2か月で回復するが、血小板減少性紫斑病に先天異常が合併した場合の予後は悪い。
 CRSに対する治療としては特別なものはなく、手術の適応のある先天異常には手術を行うほか、難聴には補聴器を用い、難聴教育を必要とする。予後としては生後6か月以内に死亡するものが多く、大部分の死亡は生後1年以内であり、心不全、敗血症、全身衰弱などが死因となる。なお、妊婦の風疹罹患は流産、早産、死産をおこしやすいことでも知られる。
 日本では1965年(昭和40)から4~5年間、風疹の全国的な流行があり、とくに沖縄ではCRSが多発して注目されたが、その後しばらく流行がなく、75~77年にふたたび大流行があったものの、このときはCRSの発生がきわめて少なかった。[山口規容子]

風疹ウイルス

トガウイルス科Togavirusルベラウイルス属Rubellavirusに属する1本鎖RNA(リボ核酸)ウイルスで、エンベロープ(外被)をもつ。球形で直径50~70ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)、ヌクレオカプシド(カプシドに直接取り込まれているウイルスの核酸)の直径は約30ナノメートル、エーテル感受性。ヒトが唯一の自然宿主(しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)である。細胞培養で増殖が可能となった。宿主域はヒトの羊膜細胞、ウサギの腎(じん)細胞などで、この部位で発育する。他の細胞培養では細胞変性を示さないことが多い。
 風疹ウイルスの証明はウイルスの干渉作用を利用して行われる。すなわち、ミドリザルの腎細胞に風疹ウイルスを接種し、その後7~11日経過してからエコーウイルスを接種すると、エコーウイルスによる細胞変性が阻止される。[曽根田正己]

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世界大百科事典内の風疹の言及

【奇形】より

…このような奇形を誘発する因子を催奇形性因子,物質を催奇形性物質と呼んでいる。これらのおもなものには,サリドマイドによるアザラシ肢症(薬剤ないし化学物質)や,原子爆弾症による小頭症(放射線),風疹による先天性心臓奇形(感染症)などがあげられる。さらに,遺伝的要因と環境要因の両者の相互作用によって形成されると考えられる奇形もある。…

【先天性風疹症候群】より

…妊婦の風疹罹患のために出生児に現れる種々の障害を総称して先天性風疹症候群といい,母親が不顕性感染の場合でも起こりうる。風疹は風疹ウイルスによって起こり,一般には軽く経過する病気であるが,妊婦が妊娠初期にかかると胎盤を通して胎児に感染し,流産や種々の奇形発生の原因となる。…

※「風疹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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