家庭医学館 「白色瞳孔」の解説
はくしょくどうこう【白色瞳孔 Leukocoria】
瞳孔領(どうこうりょう)が黄白色に輝いて見える状態をいいますが、先天白内障(せんてんはくないしょう)は含みません。
[原因]
つぎのようなさまざまな病気が原因でひきおこされます。
■網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)
悪性腫瘍(あくせいしゅよう)で片眼(へんがん)または両眼性(りょうがんせい)で、小眼球(しょうがんきゅう)はともないません。
■水晶体後線維増殖(すいしょうたいこうせんいぞうしょく)(症(しょう))(未熟児網膜症瘢痕期(みじゅくじもうまくしょうはんこんき))
水晶体(すいしょうたい)後方にみられる白色組織で、両眼性です。
■第1次硝子体過形成遺残(だいいちじしょうしたいかけいせいいざん)
片眼性で小眼球が多く、虹彩(こうさい)上に血管がみられます。
■脈絡膜欠損(みゃくらくまくけっそん)
多くは両眼性で、小眼球をともないます。
■コーツ病
片眼性で、小眼球はともないません。
■網膜異形成(もうまくいけいせい)(症(しょう))
両眼性で小眼球、浅前房(せんぜんぼう)、目以外の先天異常をともないます。
■先天網膜(せんてんもうまく)ひだ(先天網膜鎌状剥離(せんてんもうまくかまじょうはくり))
小眼球をともなわない片眼性のものです。視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)から白い色素状のものが分泌(ぶんぴつ)されて、周辺部(多くは外下方)におよび、網膜血管がそれに引き寄せられたように走っています。弱視(じゃくし)、眼振(がんしん)などがみられます。
■転移性眼内炎(てんいせいがんないえん)
他の臓器から化膿菌(かのうきん)などの病原微生物が転移し、硝子体(しょうしたい)中に黄白色塊状の膿瘍(のうよう)を形成します。
■ぶどう膜炎(まくえん)
胎生期(たいせいき)の炎症によって生じた硝子体(しょうしたい)の黄色混濁(こんだく)で、両眼または片眼にみられます。血管はともなわないのがふつうです。
■トキソカリア症
イヌやネコに寄生する回虫の幼虫が乳幼児に感染し、一方の目の硝子体中に、隆起した網脈絡膜肉芽腫(もうみゃくらくまくにくげしゅ)を形成します。
■硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)
新生児の出血後の硝子体混濁で、両眼性または片眼性です。
その他の原因疾患としては、強度近視(きんし)、網膜有髄神経線維(もうまくゆうずいしんけいせんい)があります。
[治療]
原因となる疾患をつきとめ、それぞれの治療を行ないます。