改訂新版 世界大百科事典 「免疫蛍光法」の意味・わかりやすい解説
免疫蛍光法 (めんえきけいこうほう)
immunofluorescence
抗体または抗原にフルオレセインやローダミンのような蛍光色素を標識したものを用いて,体液,組織などに存在する抗原または抗体を検出する,きわめて感度の高い方法。このうち,抗体を標識する場合は蛍光抗体法と呼ぶことが多い。直接法と間接法の2法がある。蛍光抗体の場合についていえば,直接法は組織中に存在する抗原に対して特異的に結合する蛍光標識抗体を,薄い組織切片に反応させ,この切片をよく洗って,蛍光顕微鏡で観察すると,組織中の抗原と結合した蛍光抗体が蛍光を発するので,その抗原の存在を知ることができる。間接法は,まず組織切片中の抗原と,これに対する無標識抗体を反応させてから洗い,次に無標識抗体と特異的に反応する標識抗体を反応させて洗い,蛍光顕微鏡で観察し,抗原の存在を間接に検出する方法で,直接法に比べて蛍光量が増大するので感度が高くなる。間接法は,スライドに塗布した梅毒トレポネマや有核細胞などに患者血清を反応させ,標識抗ヒトグロブリン抗体を反応させて,梅毒抗体,抗核抗体などの検出にも用いられる。抗原を標識する場合にも原理は同じで,抗体産生細胞の有無や形状を調べるのに用いられる。
執筆者:松橋 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報