フルオレセイン(読み)ふるおれせいん(英語表記)fluorescein

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フルオレセイン」の意味・わかりやすい解説

フルオレセイン
ふるおれせいん
fluorescein

黄色の酸性染料であるが、水溶液中で吸収した光を強い緑黄色蛍光(530~570ナノメートル)に変えて発光するので、蛍光fluorescenceに由来してこの名がある。このためにフルオレセイン溶液は緑黄色にみえる。1871年、インジゴ合成で有名なドイツバイヤーが創製した。蛍光は媒体性質吸着の状態で強度が敏感に変化しうるので、蛍光指示薬として用いられる。誘導体に赤色エオシンローズベンガルなどがある。

[飛田満彦]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フルオレセイン」の意味・わかりやすい解説

フルオレセイン
fluorescein

化学式 C20H12O5 。黄赤色ないし赤色の粉末。融点 314~316℃。水,ベンゼン,クロロホルムエーテルに不溶で,熱アルコール,酢酸可溶。アルカリ水溶液は淡い黄色であるが,強い緑色ケイ光を示す。ハロゲンイオンを銀滴定するときの吸着指示薬中和滴定の際のケイ光指示薬として用いられるほか,河川水,井戸水などに含まれる微量アンモニア検出にも用いられる。このケイ光はケイ光光度計を用いれば非常に微量まで定量できるので,河川水,地下水流の調査にトレーサーとして用いることもある。

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