朝日日本歴史人物事典 「児玉空々」の解説
児玉空々
生年:享保19(1734)
江戸中期の代表的な琴楽家。田安徳川家の儒臣。名は慎,字は黙甫,通称喜太郎,空々は号。江戸に住む。琴楽は,孔子のころよりの七弦琴の古楽で,文人の四芸である琴棋書画のひとつ。日本では奈良・平安時代に行われて一旦消滅し,江戸初期に,徳川光圀に招かれた明の禅僧東皐心越によって再興された。空々は和算家の幸田子泉に琴を学び,江戸牛込の安養寺で弟子100人を擁する琴社迎暾閣を興し,日本琴学の最盛期を招いた。空々が集めた多数の和漢の琴譜,琴書は田安家に保存され,現在,国文学研究資料館に所蔵されている。
(岸辺成雄)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報