朝日日本歴史人物事典 「入江文郎」の解説
入江文郎
生年:天保5.4.8(1834.5.16)
幕末維新期のフランス学者。出雲国松江(松江市)の出身。名は「ぶんろう」であるが,フランス留学後は「ふみお」と自署している。万延1(1860)年,フランス公使館のヴーヴにフランス語を学ぶ。その直接教授法での授業の成果は,発音や作文に発揮された。文久1(1861)年,蕃書調所の教授手伝となり,明治4(1871)年に渡仏。その間の事情を物語るものとして,『西航備忘録』を残している。同6年,留学生の総代となる。留学先の各学校長に宛てた仏文の書簡が現存しており,史料として興味深い。
(田中貞夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報