改訂新版 世界大百科事典 「全共連」の意味・わかりやすい解説
全共連 (ぜんきょうれん)
正称は全国共済農業協同組合連合会。農業協同組合が行う共済事業である協同組合保険の全国機関。農協の共済事業(農協共済)は一般保険会社が行う生命保険や損害保険と類似の機能をもつが,経済的弱者である組合員の相互扶助を基本理念とし,非営利の原則のもとに組合員みずからが行うところに特徴がある。全共連は農業協同組合法(1947施行)にもとづき1951年に設立され,さらに54年同法改正によってその組織,事業の基礎が作られた。農協共済は,組合員が市町村にある農協と共済契約をなし(元受け),これを都道府県の共済農業協同組合連合会(共済連)に再共済し,さらに全共連に再々共済する3段階系統組織で運営される。事業は一般保険でいう生命保険と損害保険の両方を兼営していることが特徴である。おもな種類は大別すると,養老生命共済や建物厚生共済などの長期共済(共済期間5年以上)と自動車共済や火災共済などの短期共済(5年未満)とがあり,組合員の生活設計に応じてセットされる。21世紀に向かうにあたり,組合員の生活保障設計に活用できる農協共済の特性を生かした共済の開発や組合員に対する資金還元制度の開発が要請されている。全共連の系統全体の規模は上位の一般保険会社に匹敵する。長期共済保有高は1961年に1兆円,79年に100兆円,85年には200兆円の大台を突破している。95年度の受入共済掛金3.3兆円。総資産高9.3兆円(1996年3月)。
執筆者:臼井 晋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報