日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
全国大学生活協同組合連合会
ぜんこくだいがくせいかつきょうどうくみあいれんごうかい
全国にある大学生活協同組合(大学生協、univ.co-op)の上部団体。略称は全国大学生協連。消費生活協同組合法(昭和23年法律第200号)に基づく法人組織である。大学生協が行っている書籍・パソコン・文具販売、食堂運営、旅行、共済(保険)などの事業を育成指導し、学生、大学院生、留学生や教職員の生活の充実を図ることを目的とする組織である。1963年(昭和38)から「学生の消費生活に関する実態調査」を始めるなど、学生の生活実態や意識などに関する全国規模での調査を実施・公表している。大震災など激甚災害時には、仮設学生寮の設置、学生ボランティアの派遣、義援金・募金の募集、心の相談窓口の設置などで被災学生や被災地を支援する。2018年(平成30)に全国大学生協連奨学財団を設け、扶養者が死亡した学生向け奨学金制度を導入した。国際協同組合同盟(ICA:International Co-operative Alliance)に加盟し、核兵器廃絶などの平和活動や環境活動も行っている。
1947年に全国学校協同組合連合会として発足し、1958年に法人化して現名称となった。会員数は214(2020年末時点)で、大学・短大・高等専門学校・専門学校生協のほか、物品を共同購入する大学生協事業連合、生協のない大学の学生向けに生協サービスを提供する地域別インターカレッジコープ、学生向けの保険事業を行う全国大学生協共済生活協同組合連合会も会員である。所在地は東京都杉並区和田。最高議決機関は総会で、業務執行機関として理事会があり、理事会の下に学生、教職員、大学院生、留学生などの委員会がある。トップは会長理事で、会員の組合員数は約155万人(2020年9月末)、会員の合計事業高は1781億円(2019年度)。事業年度は10月から翌年9月末で、事業運営は会員からの出資金(2020年9月末で9億7050万円)でまかなう。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行によるキャンパス閉鎖やオンライン授業の増加で、2020年(令和2)以降、解散や赤字に陥る大学生協が増えており、会員である大学生協への支援が課題となっている。
[矢野 武 2022年4月19日]