八ヶ郷用水堰
はつかごうようすいせぎ
夜間瀬川扇状地に敷かれた八ヵ郷をうるおす用水堰である。八ヵ郷とは中野・西条・小田中・一本木・更科・吉田・若宮・竹原村をいうが、松川村が中野に包含されているから実は九ヵ村となる。夜間瀬川扇状地は、標高五〇〇メートルの字松崎を頂点として、西は長丘丘陵、南は延徳平、東は筥山の西麓、北は高社山の南麓すなわち夜間瀬川までの間に展開している。夜間瀬川の水を字松崎に水門を設けて引き込み、土地の傾斜に沿って放射線的に流下せしめた用水路である。用水の目的は灌漑用(田用水)・飲用水・雑用水とあるが、自然のままに流せば上流で水を独占使用する傾向となるので、米作に必要量の用水を確保するためには共同で堰を開削する必然性に迫られる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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