若宮(読み)ワカミヤ

デジタル大辞泉 「若宮」の意味・読み・例文・類語

わか‐みや【若宮】

幼少の皇子。また、皇族の子。
将軍の子の僭称せんしょう
本宮の祭神の子を祭った神社。
本宮の祭神の分霊を新たに勧請かんじょうした神社。新宮しんぐう
[類語]皇子御子王子親王皇太子東宮プリンス

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精選版 日本国語大辞典 「若宮」の意味・読み・例文・類語

わか‐みや【若宮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 幼少の皇子。また、一般に皇族の子。
    1. [初出の実例]「亭子院のわか宮につきたてまつり給て」(出典:大和物語(947‐957頃)一一)
  3. 将軍の子の僭称。
    1. [初出の実例]「若宮自細川下野守〈御産所也〉宿所、今夜俄渡御左衛門督〈略〉今出川亭」(出典:建内記‐永享一一年(1439)二月五日)
  4. 本宮の祭神の分霊を奉斎したもの。たとえば、本宮の応神天皇に対し仁徳天皇をまつる石清水八幡宮の若宮の類。
    1. [初出の実例]「宇佐八幡〈略〉此宮に御座す若宮若姫両所太神」(出典:朝野群載‐一二・宇佐使宣命書様(939頃))
  5. はげしく祟る無縁の霊を斎(いわ)い込めるため、大きな神格の支配下においてまつり始めたもの。祠にまつったりする。

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日本歴史地名大系 「若宮」の解説

若宮
わかみや

石清水八幡宮の摂社の一つで、本宮の北に鎮座し、「山城名勝志」に「在本殿艮隅」とみえる。祭神仁徳天皇。「宮寺縁事抄」に「御垂跡御遷宮之最初奉祝歟」とみえて、貞観二年(八六〇)本宮鎮座の時、行教が祭祀したという。「石清水八幡宮末社記」に「竜宮御腹御誕生御童形也、一宇神殿二所御坐云々、天慶六癸卯三月十一日己卯両所大神奉従五位下、仁徳与若宮御母各別勿論也、委見阿蘇本地記歟」とみえ、また「廿二社本縁」の「石清水事」には、「若宮事、応神八幡御姫三人、男子一人坐、其中若宮寸和、男子仁天也、若宮四所、姫宮三人共寸登恵利、若宮仁徳天皇也、即平野大明神也」と記す。

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改訂新版 世界大百科事典 「若宮」の意味・わかりやすい解説

若宮 (わかみや)

本宮に対する新宮,親神に対する御子神をいう。八幡宮における若宮八幡(仁徳天皇),春日社の春日若宮(天押雲根命)などがその代表的な例である。若宮をまつるに至った経緯を各地に残る若宮社の縁起類からうかがうと,巫女の託宣によるものが多い。若宮の成立の背後には神をまつる巫女と母子神信仰との深いかかわりが存在していた。また巫女の託宣により示された若宮は非業の死をとげたために人々に災いをもたらし,たたるものであった。このたたる霊魂を,より上位のかつ強力な神の統制下におくことによって,そのたたりを防ごうとしたところに若宮の成立した根拠があった。若宮八幡を仁徳天皇とする説明は,八幡神を応神天皇とする説の成立以後のもので,若宮のあらあらしいたたる神としての性格が忘れられ薄れてからのものである。また若宮の〈若〉は若い子どもの意にあわせて,正月の若水の例のような霊力をもつものという意味をもっていた。このような若宮をめぐる信仰の根底には母子神信仰,御子神信仰,それを支えた巫女の活動,非業の死をとげた者がたたりをなすと信じられた御霊信仰,また有力な神は人間の社会の有力者と同様にこれに従う従者としての眷属神,御子神を多くもつとする観念と,その観念をてこにみずからのまつる神の威力ひろめ在地でそれまで信仰されていた神を下位に位置づけようと努力した神職集団の活動などが,複雑にからみあいながら存在していた。
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若宮(旧町) (わかみや)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「若宮」の意味・わかりやすい解説

若宮(旧町名)
わかみや

福岡県北部、鞍手郡(くらてぐん)にあった旧町名(若宮町(まち))。現在は宮若(みやわか)市の西部を占める。旧若宮町は1943年(昭和18)町制施行。1951年山口、中(なか)の2村、1955年吉川(よしかわ)村と、笠松(かさまつ)村の一部を合併。2006年(平成18)宮田(みやた)町と合併、市制施行して宮若市となった。旧若宮町域の南西部は三郡山地(さんぐんさんち)東斜面の山地が広く分布、遠賀(おんが)川支流の犬鳴川(いぬなきがわ)が北東流して沖積低地(若宮盆地)を形成、北端に九州自動車道若宮インターチェンジがある。中心集落の福丸(ふくまる)は小京都の異名をもつ旧市場町でバス交通の中心。主産業は農林業で、米のほか、野菜、ブドウタケノコ、木材などを産し、酪農も盛んである。見どころとして国指定史跡の竹原古墳(たけはらこふん)(装飾古墳)、若宮八幡(はちまん)宮、力丸(りきまる)ダムなどがあり、脇田温泉(わきたおんせん)は筑豊(ちくほう)の奥座敷といわれ、一帯は太宰府(だざいふ)県立自然公園に含まれる。

[石黒正紀]


若宮(神社)
わかみや

若宮社、若宮神社ともいう。基本的には本宮の摂・末社として主祭神の御子(みこ)を神に祀(まつ)る社(やしろ)をいうが、ときに本宮に対してその主神の分霊を勧請(かんじょう)した社を若宮といい、また非業の死を遂げた怨霊(おんりょう)を慰め鎮めるために祀った社を若宮と称する例も少なくない。若宮八幡(はちまん)は仁徳(にんとく)天皇、春日(かすが)若宮は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)、大神(おおみわ)神社の若宮は太田田根子命(おおたたねこのみこと)、梅宮神社の若宮は橘諸兄(たちばなのもろえ)と、いずれも主祭神の御子を祀るが、鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)はもと源頼義(よりよし)が石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)を由比郷(ゆいごう)に祀った鶴岡若宮であり、鹿児島市有村(ありむら)町の若宮神社は島津氏が鶴岡八幡を勧請したものである。また鹿児島県出水(いずみ)市野田町の若宮神社は、文武に優れた武将で藩主に謀殺された島津忠兼(ただかね)の祟(たた)りを鎮めるための社であり、愛媛県宇和島(うわじま)市の和霊(われい)神社も藩主に殺された功臣を祀る社で、同県内ではこの種の社を若宮社という。

[薗田 稔]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「若宮」の意味・わかりやすい解説

若宮
わかみや

福岡県北部,宮若市西部の旧町域。遠賀川の支流である犬鳴川上・中流域を占める。 1943年町制。 1955年吉川村および笠松村の一部と合体。 2006年宮田町と合体して宮若市となる。三郡山地北東斜面にあり,山地,丘陵地が広がる。農林業が主産業で,野菜,タケノコ,ブドウ,イチゴを産し,木材,竹材の取り引きも行なわれる。筑豊では珍しく炭鉱のない地域であったが,産炭地域振興事業により陶磁器,食品などの工場が進出。竹原に国の史跡である竹原古墳がある。脇田温泉,力丸ダムなど南部は太宰府県立自然公園に属する。

若宮
わかみや

本宮をほかの地に新しく勧請して祀った新宮,または本宮の祭神の御子神を祀った神社の意。また非業の死をとげ,人々にたたりやすい御霊を祀り,その怒りをやわらげ,同時に強力な神の支配下においてたたりを封じ込めようとしたやしろをいうこともある。後者は巫女, (はふり) らによって広く伝播された。

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百科事典マイペディア 「若宮」の意味・わかりやすい解説

若宮【わかみや】

激しく祟(たた)りやすい霊魂を偉大な神格の御子神(みこがみ)や眷属(けんぞく)神として祭ること。八幡神が応神天皇だから八幡若宮の祭神は皇子の仁徳天皇と解釈するような例もあるが,多くは非業の死をとげたり人柱になった人間の霊をまつって怒りをやわらげるとともに,強力な神の支配下に置いて祟りを封じこめようとした。御子神の信仰を広げたのは神の託宣が幼児や女性の口から伝えられるという巫女(みこ)の信仰で,巫女自身神の子と称して自分を権威づけたのであろう。全国に分布する若宮信仰の背後にも若宮部と称する託宣を行う集団の活動があった。→王子信仰

若宮[町]【わかみや】

福岡県北部,鞍手郡の旧町。遠賀(おんが)川の支流犬鳴(いぬなき)川の流域を占める。九州自動車道が通じる。米作のほか,イチゴ,ブドウ,花卉(かき)などの栽培が行われ,林産も多い。主集落の福丸は川沿いの盆地にあり,バス交通の要地。竹原古墳(史跡)がある。2006年2月,鞍手郡宮田町と合併し市制,宮若市となる。87.50km2。1万379人(2003)。

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世界大百科事典(旧版)内の若宮の言及

【若王子】より

…若一王子(にやくいちおうじ)ともいう。《長秋記》長承3年(1134)の記事で〈若宮(わかみや)〉とあるのが本来の呼称であろうが,平安末期の《梁塵秘抄》には〈若王子〉と見える。若王子は京都の白川の禅林寺の北に同じころ勧請され,〈白川熊野〉ともよばれたが,鎌倉・室町幕府からは所領を寄進され,京都郊外の花の名所でもあったし,全国の具足屋(甲冑の職人,商人)の信仰を集め,若王寺とも記された。…

【別宮】より

…その場合,別宮は神領とともに本社で管理された。(3)そのほかに今宮,若宮など,さらに神幸祭の頓宮,お旅所,また旧社地に奉斎してある社のことを別宮と称しているように,幾種にか分類される。【鎌田 純一】。…

※「若宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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