日本大百科全書(ニッポニカ) 「公証役場」の意味・わかりやすい解説
公証役場
こうしょうやくば
公証人が執務する事務所。公証人とは、公証人法の規定により、判事、検事、法務事務官などを長く務めた法律実務の経験豊かな者のなかから法務大臣が任免し、国の公務を行う者であり、実質的意義における公務員に該当する。しかし、公証人は、国から給与や補助金などいっさいの金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営している。そのため、弁護士、司法書士、税理士などと同様の、独立した事業者であることから、手数料制の公務員であるともいわれている。
公証人は全国に約500名いて、公証役場は約300存在する。そして、公証人の扱う事務(公証事務)のおもなものは公正証書の作成であり(このほか、確定日付の付与と定款などの認証がある)、公正証書遺言(民法969条)は、公証人が公証役場において作成するものである。
[野澤正充 2019年7月19日]