日本大百科全書(ニッポニカ) 「六窓庵」の意味・わかりやすい解説
六窓庵
ろくそうあん
東京国立博物館庭園にある茶室。もと奈良・興福寺慈眼院内にあり、慶安(けいあん)(1648~52)年中に金森宗和の好みで成ったと伝えられる。明治初年、画家高階在晴(たかしなありはる)が入手し、在晴の没後1875年(明治8)東京帝室博物館が購入した。海路運搬中、伊豆沖で難船、某所に流れ着いた解体材を回収して再建されたという。三畳台目(だいめ)で、客座の中央に点前座(てまえざ)を配し、窓は六窓を数える。茶道口と給仕口を矩(かね)折りに配置するのは織部や遠州の好んだ間取りである。墨蹟(ぼくせき)窓がない点など、構成意匠に宗和らしい好みをみつけだすのはむずかしいが、古格はなお失われていない。
[中村昌生]