江戸前期の茶匠。宗和流の開祖。飛騨(ひだ)高山城主金森出雲守(いずものかみ)可重(ありしげ)の長男。名は重近。1614年(慶長19)大坂冬の陣の際、父の怒りに触れることがあって勘当され、母とともに京都に隠棲(いんせい)した。この年、大徳寺の紹印和尚(おしょう)に参禅、剃髪(ていはつ)し、宗和と号す。18年(元和4)以後、烏丸(からすま)今出川上ル御所八幡上半町に居所を構えているが、ここには二階座敷があった。47年(正保4)ごろ、陶工野々村清右衛門こと仁清(にんせい)が御室仁和寺(おむろにんなじ)門前に開窯するに及び、これを指導して茶陶を焼かせたばかりでなく、作品の注文取りや売却にも積極的に関与し、御室窯の経営に大きな役割を果たした。もっとも宗和好みとされる仁清の色絵陶は、宗和生存中はむしろ少なく、没後の作製になるものが多いが、豊潤(ほうじゅん)な意匠感覚が公家(くげ)武家の間に好まれた。これが茶風と相まって、茶に禅法を強調した同時代の茶人千宗旦(せんのそうたん)との対比で、「乞食宗旦・姫宗和」との評を生んだ。仁清茶陶を通して武家との関係が認められるが、常修院宮(梶井宮(かじいのみや)慈胤法親王)をはじめ、近衛信尋(このえのぶひろ)(応山)、一条昭良(恵観)、金閣寺の鳳林承章(ほうりんしょうしょう)ら宮廷貴紳との交わりがあり、茶も広がっている。大徳寺真珠庵(あん)庭玉軒、鹿苑(ろくおん)寺の夕佳亭が好みの茶室と伝え、墓所である京都天寧寺には遺品の数々を伝えている。
[村井康彦]
江戸初期の茶匠。宗和流の祖。飛驒高山城主金森出雲守可重(よししげ)の長男として生まれる。名は重近。1614年(慶長19)所領の問題で父の怒りにふれて勘当をうけ,母を伴って京都に隠棲した。大徳寺の紹印伝双に参禅して剃髪,宗和と号した。近衛応山信尋,一条昭良をはじめ,鹿苑寺の鳳林承章,小堀遠州,片桐石州らの公武貴顕と親交した。俗に〈姫宗和〉といわれるのは,徹底した禅味中心の茶風を主張する宗旦の〈乞食宗旦〉(侘び宗旦)に対する呼称である。その優美で上品な茶風は宮中・公家の茶に大きく影響を与え,とくに後西天皇は宗和の茶を愛好した。また陶工野々村仁清を指導して御室焼を始めさせたことで有名。大徳寺真珠庵内の庭玉軒(ていぎよくけん),鹿苑寺金閣の夕佳亭(せつかてい),興福寺慈眼院の六窓庵(現,東京国立博物館内)などが遺構として知られている。
執筆者:筒井 紘一
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(谷端昭夫)
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…近世になり各地で各種の春慶塗が行われたが,現在は岐阜の飛驒春慶が主で,他に秋田の能代春慶(江戸初期,飛驒の工人山打三九郎が開いたという),茨城の粟野春慶,長野の木曾春慶などがわずかにその伝統を守っている。飛驒春慶は江戸初期,高山城主金森可重の子である茶人金森宗和が塗師成田三左衛門に盆類をつくらせたのに始まるといわれる。木地はへぎ目を生かしたもの,変形鉋(かんな)で文様を彫るものがあり,それを淡黄色に着色し透明漆を塗る黄春慶が主である。…
…茶の産地で知られる京都府宇治市でつくられたので,宇治人形ともいい,また茶摘み女を人形化しているので茶摘み人形ともいう。江戸時代寛永年間(1624‐44)に茶人金森宗和が宇治に隠居して彫ったのに始まるといわれる。3cm前後の小型物が多く,タバコ入れの根付(ねつけ)などに用いられた。…
…明暦年間(1655‐58)には仁和寺の〈仁〉と清右衛門の〈清〉の字を合わせて〈仁清〉と称し,製品に〈仁清〉の銘印を捺(お)した。開窯期の御室窯は唐物や瀬戸写しの茶入,高麗茶碗写しなどを主流に金森宗和好みの斬新な器形,瀟洒な銹絵(さびえ)(鉄絵の一種)や染付,色絵などを施した茶器や懐石道具などを製作した。宗和はとくに御室焼の製品を自身の茶会にも多用し,また大名,武家,町人たちにも斡旋するなど,御室窯の指導と普及に努めた。…
※「金森宗和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...
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