出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…一方,海難によって生じた財産上の損害を塡補(てんぽ)するために海上保険の制度があるが,その源流はギリシア・ローマ時代にまでさかのぼり,各種の現代的保険の母体をなすとされている。【佐藤 幸夫】
[江戸時代の海難]
江戸時代の海難を当時の用語に従って挙げれば,破船(難破),難船(難航して船体・積荷に被害があること),膠船(座礁),水船(浸水),沈船(沈没),当逢(あたりあい)(衝突),打揚げ,行方不明等である。このほか広義には,敵艦船の攻撃・拿捕(だほ),沿岸民の占取・略奪,海賊・盗賊の襲撃・強奪,失火・自然発火による火災,不法行為による打荷(うちに)・窃盗等が含まれる。…
…また漂流物により海流の状況が明らかになることもある。昔から難船漂流の悲劇は洋の東西を問わずきわめて多い。漂流には学術上の目的で行ったものと,海難事故によるものがあり,前者では1947年T.ヘイエルダールが人類学上の自説を立証するため,〈コン・ティキ号〉と名づけたいかだで太平洋横断を決行した例(《コン・ティキ号探検記》),52年アラン・ボンバールが海の魚とプランクトンだけを食べ,海水と雨水で渇きをしのぎ,単身〈異端者号〉と名づけたゴムボートで大西洋横断漂流に成功した例(《実験漂流記》),日本では数次の漂流実験後,75年斎藤実が〈ヘノカッパII世号〉でサイパン島から沖縄に向かって漂流実験した例(〈漂流実験〉)などが著名である。…
※「難船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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