典当鋪(読み)てんとうほ(その他表記)diǎn dàng pù

改訂新版 世界大百科事典 「典当鋪」の意味・わかりやすい解説

典当鋪 (てんとうほ)
diǎn dàng pù

中国質屋。典も当も日本でいう質の意味。古くは質庫,抵当庫,解庫,解典庫などといい,清代から民国時代にかけては典当鋪(舗),典鋪(舗),当鋪(舗),質当鋪(舗)などと呼ばれた。5世紀,南北朝のころ,貧民救済のために寺院が質庫を設けたのが始まりとされ,最初は社会事業的な性質をもっていた。唐・宋時代からは,きわめて有利かつ安定した金融業として,民間の富豪商人が営利事業として経営を始め,時代が下るにつれて発達した。最盛期は17~18世紀の清代で,20世紀になると,他の金融機関に押されてやや衰退したといわれる。質札は,古くは帖,帖子と呼ばれ,のちには当票,質票と呼ばれた。農村の典当業は,昔から地主兼業が多く,都市では官僚や商人の出資による合股ごうこ)組織のものが多い。利子法定では月利3%であったが,実際にははるかに高利の場合が多かったようである。質物に対する評価はふつう50%,入質期間は12ヵ月とされたが,これも実際にははるかに割高につく暴利を取ったようである。1930年代の調査では,全国の業者は約4500戸,うち大都市のもの1000戸であるが,調査もれの業者も少なくなかった。革命後の中国では,信用協同組合普及により姿を消した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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