国指定史跡ガイド 「内間御殿」の解説
うちまうどぅん【内間御殿】
沖縄県中頭(なかがみ)郡西原町嘉手苅にある屋敷跡。沖縄本島の南部に位置し、琉球王国を治めた第二尚氏(しょうし)初代の尚円王(金丸(かなまる))が、内間地頭になったときの住居跡で、王位につくまでの15年間住んだといわれている。尚円王の死後、第二尚氏ゆかりの地として、住居跡の聖地化がはかられ、17世紀に茅葺きの神殿(東江(あがりぃ)御殿)が建設された。その後、西江(いぃりぃ)御殿が築かれ、屋根を瓦葺きに変えたり、竹垣を石垣に変えたりしながら、尚敬王(在位1713~51年)のときには、石造の先王旧宅碑が造られて聖地として完成する。琉球石灰岩を相方(あいかた)積みにした石垣は当時のままで、敷地には樹齢450年以上のサワフジ(サガリバナ)があり、戦前には堂宇の中に守られていたが、沖縄戦の被害を受けて、現在ではほぼ台座だけの状態になった先王旧宅碑、御殿の基壇などが残されている。村落における祭祀の定着にともなって、周辺には拝所などもできており、沖縄における祭祀信仰の実態を知るうえで重要とされ、2011年(平成23)に国の史跡に指定された。那覇空港から車で約32分。