内閣人事局(読み)ないかくじんじきょく

共同通信ニュース用語解説 「内閣人事局」の解説

内閣人事局

中央省庁の幹部人事一元管理するため、2014年に内閣官房に設置された組織。それまで総務省人事院が担ってきた人事行政権限を移管し、公務員制度の企画、立案任用、採用試験などの実務を手掛ける。府省庁事務次官や局長ら計約600人の人事を首相官房長官が主導して決定するため、官僚首相官邸意向を気にしすぎるとの弊害も指摘されている。

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知恵蔵 「内閣人事局」の解説

内閣人事局

2008年度に設置される予定だった、国家公務員幹部職員の人事の一元管理を行うための組織。08年6月に成立した「国家公務員制度改革基本法」によって、内閣官房に設置が定められたもので、1年以内に設置のための法制上の措置が講ぜられることとなっていたが、省庁間の調整がつかず09年度の設置は見送られることになった。日本の国家官僚には、「省あって内閣なし、局あって省なし」と批判されるように、国全体の利益ではなく、省や局という閉鎖的な「縦割り組織」の利益を優先する傾向があった。その理由は、省ごとに「キャリア官僚」として採用され、省内のポストを昇進していき、同期が次官クラスの最高ポストに就くと残りの者は外郭団体民間企業に天下りしていくという、生涯保証システムにあった。このシステムを、その入り口中間出口で改革することが、安倍内閣福田内閣で取り組まれた公務員制度改革である(担当したのは、渡辺喜美行政改革担当大臣)。入り口については、内閣人事局による一括採用は見送られたが、出口の早期退職勧奨(天下りあっせん)については、省庁が行うことは禁止され、官民人材交流センターに一元化されることになった(経過措置として3年間は再就職等監視委員会が認めれば、省庁もできる)。中間の昇進については、幹部職員の候補者名簿や、選考基準の作成が、内閣人事局の事務となった。従来、各省大臣には実質的な人事権はなく、幹部人事については、事務方トップの事務次官が作成する人事案を承認するしかなかった。これを、内閣人事局が、民間からもリストアップした候補者名簿を担当大臣に提出できるようにし、事務次官の人事案に縛られないようにした。しかし、人事権を奪われることになる霞が関官僚の抵抗は根強く、09年度の内閣人事局の設置は見送りになったわけである。再就職監視等委員会も官民人材交流センターも未発足である。

(高橋誠 ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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