再審無罪判決(読み)さいしんむざいはんけつ

知恵蔵 「再審無罪判決」の解説

再審無罪判決

再審とは、確定判決に一定の重大な瑕疵(かし)がある場合に、その判決を取り消して事件の再審理を求める非常救済手続き。1963年の吉田がんくつ王再審無罪判決で注目を集めたが、当時は再審開始の条件は極めて厳しかった。75年5月の最高裁白鳥事件再審決定で、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判原則を再審にも適用し、新証拠と他の全証拠を総合的に評価して確定判決の事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りるという基準が示されて以来、再審が相次いで開始された。死刑・無期懲役という重罪事件だけでも、加藤老、財田川免田松山、梅田、島田山中、榎井村事件等で再審無罪判決が確定した。また2005年4月に名古屋高裁が名張事件について(06年9月現在、異議申し立て審理中)、同年9月には水戸地裁が布川事件について(東京高裁に即時抗告)再審開始を決定した。

(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「再審無罪判決」の意味・わかりやすい解説

再審無罪判決
さいしんむざいはんけつ

判決が確定したあとで,一定の重大な瑕疵を理由に判決を取消して審理をやり直すよう求めることを再審といい,その再審において被告人の逆転無罪判決が下される例が少くない。 1975年の白鳥事件最高裁再審決定で「疑わしきは被告人の利益に」という原則が適用されたことを契機に,83年には免田事件で死刑が確定していた免田栄に無罪の判決が下された。 84年には財田川事件松山事件,89年には島田事件の再審無罪判決が言い渡された。これらの背景には冤罪があり,捜査や裁判のあり方に疑問を投げかけた。

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