写真鏡(読み)シャシンキョウ

デジタル大辞泉 「写真鏡」の意味・読み・例文・類語

しゃしん‐きょう〔‐キヤウ〕【写真鏡】

写真機古称
レンズを通して、すりガラス映像を結ばせるようにした暗箱天体観測や絵を描くために用いられた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「写真鏡」の意味・読み・例文・類語

しゃしん‐きょう‥キャウ【写真鏡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. レンズを通して結ばせた像を磨(す)りガラスなどに映させるようにした暗箱。古くは天体観測や絵を描くために用いられた。〔蘭説弁惑(1799)〕
    1. 写真鏡<b>①</b>〈蘭説弁惑〉
      写真鏡〈蘭説弁惑〉
    2. [初出の実例]「然し明石がどれ程に力量勝れ居るとても、仁王に所詮及ばぬことは、写真鏡にて見るも同然」(出典:歌舞伎・櫓太鼓鳴音吉原(1866)序幕)
  3. しゃしんき(写真機)
    1. [初出の実例]「或は徒歩或は乗馬或は階上より写真鏡にて図せんとす」(出典:航米日録(1860)三)

写真鏡の語誌

( 1 )もとは、の意の、天体観測やリアルな絵を描くために用いられた機械を指していた。
( 2 )の意味で用いられるようになったのは、天保一一(一八四〇)にオランダからカメラが渡来して以後であるが、渡来した直後の嘉永三(一八五〇)頃には、「写真鏡」のほかに「真写影鏡」、「撮影鏡器」などの呼称も使われた。明治直前には「写真鏡」が一般的となり、その後一九世紀末には「撮影機」「写真機」「カメラ」などの用例も見られるようになる。

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世界大百科事典(旧版)内の写真鏡の言及

【カメラ・オブスキュラ】より

…はじめは字義どおり,暗い部屋の中で日食の観察や絵の下描きのために用いられたが,16世紀ころになるとピンホールの代りに凸レンズが装着され,17世紀に入ると現在のカメラの原型といえる暗箱型のカメラ・オブスキュラが完全な遠近法による絵を描くための“道具”として普及する。日本でも写真機が将来される以前に,杉田玄白や司馬江漢らによって〈暗室写真鏡〉〈写真鏡〉として紹介された。カメラ・オブスキュラの歴史は,単にカメラの原型というだけではなく,人間と映像の初源的な関係を物語っている。…

※「写真鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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