准布(読み)じゅんふ

精選版 日本国語大辞典 「准布」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐ふ【准布】

  1. 〘 名詞 〙 古く、物の価を布の量に換算したこと。また、その布。
    1. [初出の実例]「凡諸国貢献物者。〈略〉皆准布為価。以官物市充」(出典令義解(718)賦役)
    2. 「以准布二百段、奉加之給」(出典:吾妻鏡‐建久二年(1191)九月一八日)

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改訂新版 世界大百科事典 「准布」の意味・わかりやすい解説

准布 (じゅんぷ)

〈布に換算すれば〉という意味の言葉。日本の古代中世において,しばしば種々の物の価額を布の量に換算して示すことがあったが,布に換算すること,あるいは換算された布の数量をいう。必ずしも布そのものをいうのではない。種々の物を賦課・徴収する際にその額を示すために,あるいは異なった物の価額の総額を示すために用いられる。養老令の賦役令貢献物条には,郷土所出の品々は〈皆布に准(なぞら)えて価(あたい)とせよ〉と規定されている。それは,古代ないし中世初期においては,銭貨流通が一般的ではなく,布・絹・米などが銭貨の代りに用いられて物の価額を表示する手段となっていたことに起因する。布でなくて,絹に換算して示す場合は〈准絹〉,米の場合は〈准米〉などと呼ばれるが,その他〈准油〉〈准銭〉などというのもみられる。銭貨が普及する室町時代になると,銭貨(貫文)表示が一般化してゆき,こういった表示はすたれてゆく。
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