出雲府中(読み)いずもふちゆう

日本歴史地名大系 「出雲府中」の解説

出雲府中
いずもふちゆう

中世出雲国府を中心とする広域名称。現松江市大草おおくさ町を中心に、大庭おおば町・竹矢ちくや町から同市に隣接する現東出雲町に及ぶ意宇平野一帯を含んでいたと推定される。建長七年(一二五五)二月日の二通の出雲国司庁宣(ともに千家家文書)に「依在庁等之訴訟、被追出府中畢」などとみえる。これは出雲国衙の在庁官人らに割当てられていた出雲国惣社(現六所神社)伊弉諾いざなぎ(現真名井神社)伊弉冊いざなみ(現神魂神社)などの国衙関係寺社料田からの年貢納入が滞っているとして、これを怠った在庁官人らを府中域から追放し、代わってその料田を杵築大社(出雲大社)の国造出雲義孝に与えることを伝えたものである。これらの料田はいずれも国府周辺の大草郷山代やましろ郷・竹矢郷、出雲郷(現東出雲町)の四郷に集中的に存在していた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報