松江市(読み)マツエシ

デジタル大辞泉 「松江市」の意味・読み・例文・類語

まつえ‐し【松江市】

松江

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「松江市」の解説

松江市
まつえし

面積:一九〇・三〇平方キロ(境界未定)

県北東部に位置し、宍道湖・中海および二つの汽水湖をつなぐ大橋おおはし川の北岸・南岸に市域が広がる。北部地域は東は中海、北は八束やつか美保関みほのせき町・島根町・鹿島かしま町および日本海、西は平田市、南は宍道湖・大橋川に接し、南部地域は東は八束郡八雲やくも村・東出雲町、北は中海・大橋川、西は宍道湖および同郡玉湯たまゆ町、南は大原郡大東だいとう町に接する。古代から近世にかけての当市域は、北部地域のほぼ中央を流れる佐陀さだ川の東岸が島根郡、西岸は秋鹿あいか郡、南部地域は意宇郡(古代・中世はオウ、近世以降はイウと称される)に所属。市域の大部分は松江平野に位置し、大橋川南岸の出雲国府跡などの遺跡が集中する古代出雲の中心地を含む一帯は意宇いう平野とも称される。近世には松江藩の藩庁が置かれた松江城下が大橋川両岸にまたがって形成され、出雲国の政治・経済・文化の中心となった。鳥取県境港市から境水道を越えて美保関町へ入った国道四三一号は、北部地域の東部から市街北部を抜けて宍道湖北岸を平田市に向かう。南部地域の北端を東西に国道九号が走り、市街南部には新たに自動車専用の変規格道路の国道九号が松江道路として建設されつつある。市街からは南の八雲村へ向かう国道四三二号が発している。JR山陰本線は国道九号にほぼ平行するように走り、宍道湖北岸の松江温泉まつえおんせん駅は平田市および出雲市・簸川ひかわ大社たいしや町を結ぶ一畑電鉄の発着駅となっている。

〔原始・古代〕

中海・宍道湖低地の中央部とその周辺山丘地帯を占める市域には、山陰地方でもきわめて特色のある原始・古代遺跡が多数分布している。ことに六世紀以降は古代出雲国の中心地域となり、これに関連する遺跡も多い。旧石器時代の遺跡は一七ヵ所で発見されている。その大半は市域南部の低丘陵の乃木のぎ段丘面にあり、宍道湖北岸の低丘陵にも点々と見出されている。出土石器の特徴からすると、これらの遺跡は後期旧石器時代に属するものがほとんどで、形態の判明した石器にはナイフ形石器・尖頭器・細石器などがある。それらの一部にはAT層降下以前にさかのぼる石器が存在するともいわれる。さらには乃木福富のぎふくとみ遺跡採集の玉髄製の剥片がルバロア技法によるとの見解もある。個々の遺跡で注目される例としては、石核と剥片の接合資料を出土した大庭おおば町の下黒田しもくろだ遺跡がある。以上の旧石器時代遺跡は、いまから約三万年―一万年前に東西に細長く延びる中海・宍道湖の谷間を生業の主要な舞台として、狩猟民が活発な活動を展開していたことを物語る。

松江市
まつえし

2005年3月31日:松江市と八束郡美保関町・島根町・鹿島町・八束町・八雲村・玉湯町・宍道町が合併
【美保関町】島根県:八束郡
【島根町】島根県:八束郡
【鹿島町】島根県:八束郡
【八束町】島根県:八束郡
【八雲村】島根県:八束郡
【玉湯町】島根県:八束郡
【宍道町】島根県:八束郡
【松江市】島根県

松江市
まつえし

2011年8月1日:松江市が八束郡東出雲町を編入
【松江市】[変更地名]島根県
【東出雲町】島根県:八束郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松江市」の意味・わかりやすい解説

松江〔市〕
まつえ

島根県北東部の市。県庁所在地。松江平野を中心に,北は日本海,東は中海,西は宍道湖に面する。1889年市制。1948年法吉村,1950年竹矢村,乃木村,1951年忌部村と大庭村の一部,1953年生馬村,持田村,1955年古江村,本庄村,1960年大野村,秋鹿村をそれぞれ編入。2005年鹿島町,島根町,美保関町,八雲村,玉湯町,宍道町,八束町の 7町村と合体。2011年東出雲町を編入。慶長16(1611)年堀尾吉晴松江城(千鳥城)を築城,城下町として発展,寛永15(1638)年以降松平氏の統治となりさらに繁栄した。慶長年間(1596~1615)堀尾氏によって,大橋川松江大橋がかけられた。新大橋,宍道湖大橋を加えた三つの橋により南北の市街地が結ばれている。松江城付近は官庁街,松江大橋と新大橋の両端に商店街が集中。機械,造船,食品加工業の中小工場が立地し,1964年鉄工団地が造成され,1966年中海新産業都市に指定された。1972年国鉄松江駅高架が完成。日本海沿岸や宍道湖,中海では漁業が行なわれ,缶詰やかまぼこなどの水産加工業も盛ん。農村部では米作,チャ(茶),野菜などの栽培が行なわれる。瑪瑙細工,八雲塗,出雲焼は特産。海岸には中国電力の島根原子力発電所がある。松江城,小泉八雲の旧居,また古代の出雲文化を形成した山代方墳,丹花庵古墳,安部谷古墳金崎古墳群,出雲国府跡,出雲国分寺跡など,多くの国指定史跡がある。第7代藩主松平不昧(治郷)の茶室跡菅田庵は国指定の史跡・名勝,神魂神社本殿は国宝。1951年には国際文化観光都市に指定され,山陰地方随一の文化観光都市となっている。湖岸には玉造温泉松江温泉などの温泉地がある。市域の一部は大山隠岐国立公園宍道湖北山県立自然公園に属する。JR山陰本線,木次線,一畑電鉄線,国道9号線,431号線などが通じる。七類港は隠岐航路の発着点。面積 572.99km2。人口 20万3616(2020)。

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