日本歴史地名大系 「出雲稽古知今図説」の解説
出雲稽古知今図説
いずもけいこちこんずせつ
一冊 渡辺彝著
成立 天保年間
写本 島根県立図書館・国立公文書館内閣文庫など
解説 太古から藩治までの出雲に関する事象を広く収録した史料。地理の沿革、名勝旧跡・物産・詩歌・伝承などのほか、山・川・滝・水・温泉・木竹・社寺・古城などがそれぞれの部に分けられて記述され、出雲一〇郡の各郡ごとの図と解説が載る。なかでも開闢の図・国引きの図・風土記の頃の図・出雲大河(斐伊川)洪水後の図などは想像図・推定図ではあるが出色で、他にこの種の図がないだけに参考となる。著者は松江の豪商の家に生れたが、生来風流・学問に身を入れ、この書を作るため家財を蕩尽したという。明治初年島根県に奉職した湯本文彦がこの書の原稿を入手し、著者の労苦と書の貴重さを知り、一冊本にした。島根県立図書館の写本は原本とも思われ、他に類似本・写本などが各所に点在している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報