初年次教育(読み)ショネンジキョウイク

デジタル大辞泉 「初年次教育」の意味・読み・例文・類語

しょねんじ‐きょういく〔‐ケウイク〕【初年次教育】

大学入学直後の学生対象に行われる導入期教育。レポートの書き方、ディベート、文献資料の検索、教職員とのコミュニケーションなど大学での学問に必要な知識技術大学生に求められる常識生活態度などを身につけるためのプログラムが組まれている。1970年代に米国の高等教育機関で導入され、日本でも多くの大学が採用している。

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大学事典 「初年次教育」の解説

初年次教育
しょねんじきょういく
first year experience in university

大学新入生が大学での学習・生活にスムーズに適応することを目指したプログラムのことで,アメリカ合衆国では1980年代から,日本では90年代から取り組まれるようになった。日本ではゼミナール型および基礎・概論型の授業科目からなる場合が多い。内容としては,①学問への動機付け,②文献検索の方法,③ディスカッションの方法,④情報処理の基礎技術,⑤プレゼンテーションの方法を扱ったものが中心で,基礎的学習スキルが重視されている。また,専門のディシプリンへの導入教育一環として行われている例も少なくない。アメリカではこのような学習スキルに加えて,大学生活全般における自己管理スキル,生活スキルについての指導・助言が重視されている。この違いは,日本の大学の初年次で強調される学習スキルが,アメリカではK-12と呼ばれる初等中等教育において広く取り組まれ,大学初年次はその仕上げの時期に相当していること,大学入学による生活環境の変化がアメリカではより顕著なことなどが理由としてあげられている。
著者: 小笠原正明

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

知恵蔵 「初年次教育」の解説

初年次教育

教員から一方的に教えられることが多い高校までと異なり、大学では自主的な学習が求められる。入学直後にその移行がうまくいかず、ドロップアウトしていく学生が多い。そのためにリポートの作り方や資料の収集方法など、大学での学習に必要な基本的な作業について教える。導入教育ともいわれる。また、週5日制などによる授業時間の短縮などで、学力不足の学生が増えたために、高校までに学習しておくべき内容を補習する「リメディアル教育」も、これに含まれる。文部科学省の調べでは05年度に210校が実施していた。

(増谷文生 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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