デジタル大辞泉 
                            「動機付け」の意味・読み・例文・類語
                     
		
    
        
    出典 小学館 デジタル大辞泉について 情報  | 凡例  
	
    
  
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                    どうき‐づけ【動機付】 
        
              
                        〘 名詞 〙  ( [英語] motivation の訳語 )①  心理学で人間をふくめて生活体を行動にかりたてることをいう。②  教育学 で、特定の事柄を学習しようとする意欲をふるいおこさせることをいう。 
     
    
        
    出典 精選版 日本国語大辞典 精選版 日本国語大辞典について 情報  | 凡例  
	
    
  
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                    どうきづけ 
        
              
                        行動の理由を考えるときに用いられる総合的概念であり,行動を一定の方向に向けて生起させ,持続させる過程や機能の全般を指す。モチベーションともいう。ある行動がどのようなときに起こり,継続し,どの方向を向いているのかを説明するときに用いられる,行動の原因全般を示す用語である。それゆえ,知覚,学習,思考,発達をはじめとするすべての行動を理解しようとするときには欠くことのできない概念でもある。換言すれば,動機づけ は行動を説明する諸概念の上位の概念としても把握することができる。ごく一般的には,行動は,主体がなんらかの要求(欲求)needをもち,同時に要求の対象(誘因incentive)が存在するときに生起すると考えられている。さらに,要求と誘因が出会うことによって生じ,行動の直接的な推進力となる動因driveの概念もこの過程に加えられることがある。動機づけの概念は,これら行動の発現と維持にかかわるすべての要因を含んだものと考えられる。指向性 と秩序をもって経過する。また,中断された行動に対しては強いかつ持続的な心的努力が傾けられる。これらより行動のエネルギー的な側面を理解する必要があり,動機づけの概念はこれを扱うことができる。theory とよぶ。精神分析学者フロイトFreud,S.は,自己保存および種の維持を目的とするエロス の欲動(本能)と自己や種を無機的状態に導こうとする死の欲動(本能)とが対立しながら行動を支配するという理論を提出した。また,マクドゥーガルMcDougall,W.(1908)は,社会的行動を含む人間の行動を本能から生じるものと考え,性,逃避,拒否,自己主張,群居などの本能のリストを提出している。この後さまざまな研究者によって数多くの本能のリストが示され,一時は数千種類の本能が仮定され(Bernard,L.L.,1924),「本能を信じる本能」という副題をもつ論文(Ayles,C.E.,1921)まで発表された。しかし,特定の本能を分類するのみでは行動発現のメカニズム を述べることにはならず,また容易に循環論 に陥ることになるという理由から本能に関する研究はしだいに衰微した。真空行動 などの概念を検討し,行動は生得的要因によって大いに影響を受けることを示した。生得的に行動が規定されるという本能論とは逆に,行動は生後の経験や学習によって規定されるという考え方を学習論learning theoryとよぶ。この考え方の基礎はパブロフPavlov,I.P.の条件反射の研究に始まり,行動主義心理学とよばれる分野において動物実験を中心に行動の学習過程が詳細に検討された。動因低減説 drive reduction theoryとよぶ。行動発現における生得的要因の影響を重視する点では本能論と同じ傾向をもつが,生理学的過程に注目することによって,本能論では言及されなかった行動発現のメカニズムについて考察しようとする立場である。キャノンCannon,W.B.は生理学的過程を中心とする個体内部の平衡状態が失われるとき,これを回復させるために行動が生起するというホメオスタシス homeostasisの原理を提唱した。一方,行動主義心理学者のハルHull,C.L.は,ホメオスタティックな不均衡の状態を解消するために要求および動因が生起し,それに導かれた行動によって動因や要求が低減されることが当該行動を強化するための最も大きな要因であるとした。S-R説 )を踏襲したものであるが,行動にホメオスタシスの概念を適用し,生体内の環境が平衡状態から遠ざかることによって動機づけが生じるとするのが特徴である。生体内に不均衡が生じると,それが動因となってまずは試行錯誤的な反応が生じるようになる。そして特定の反応の直後に動因が低減すると,その動因を引き起こした不均衡は刺激としてその反応と連合し,その反応がより多く生起するようになる。この繰り返しによって,反応が動因を低減させるごとに刺激と反応の連合は強化されてゆく。ハルはこの繰り返しの過程を重視し,特定の行動が引き起こされるためには動因(D )だけではなく,反応が習慣habitとなっていることが不可欠であるとして,習慣強度habit strength(S HR 反応ポテンシャル reaction potential(S ER inhibition (IR  ),その反応に対して苦痛(実験室においては電気刺激など)が生じる場合にその反応が抑制される負の要因として条件性制止conditioned inhibition(S IR S ER D ×S HR IR  -S IR 浸透圧 を一定に保つうえで不可欠で,人間は3~4日の絶水で死に至るとされている。飲水の欲求は血液の浸透圧が高まることによって生じるが,血管中に保持できる水の分量には限界があるため,体重が水によって増加している場合は飲水の欲求は抑制され,尿の排出との兼合い で血液の浸透圧が調節される。血糖値 の低下が刺激となって生じ,人間には飢えとして感じられる。摂食行動により体内の血糖が回復することで,摂食の欲求は収まる。血糖だけではなく特定のビタミン やミネラル の不足も摂食の欲求に影響していると考えられており,栄養学の知識のない幼児であっても,自由に食物を選べる環境において,ある程度栄養のバランスの取れた食物を選ぶことが知られている(カフェテリア実験 )。発達過程 での経験が2次的動機を作って行動を発現させる原因になるという立場である。ここでは人がどのように状況を理解するかという認知機能が重視され,行動は目標達成への期待と目標の価値(誘因価)との関数であると仮定するアトキンソン Atkinson,J.W.らの達成動機 に関する期待-価値理論expectancy-value theoryや,入力された刺激となんらかの内的な基準とのずれが行動を発現させるというバーライン Berlyne,D.E.らの内発的動機づけ 理論intrinsic motivation theoryがその例として挙げられよう。帰属理論 に立脚するワイナーWeiner,B.の理論と後述するホーナーHorner,M.S.の成功回避動機の概念が登場した。アタッチメント attachment(愛着)は,親和動機の進化生物学的起源ととらえることが可能であり,アタッチメントの充足を通して得られる「安全であるという感覚」あるいは「安心感felt security」は,人間に限らず広く動物の生存にとって大きな適応的意義を有している。シャクターSchacter,S.(1958)は,不安が親和動機を高める重要な要因になっているという仮説について,実験的研究による検討を行なった。その結果,他者と近接し一緒にいることで不安の低減を試みたり,自己の情動的反応の適切性を他者の反応との比較によって評価するために親和性が高まることを明らかにした。アタッチメント理論  →達成動機  →欲求  
     
    
        
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                    動機づけ (どうきづけ) 
        
              
                        目次   経営学における動機づけ 生物を行動に駆りたて目標に向かわせる内的な過程。モティベーションともいう。すなわち,(1)生物になんらかの不均衡状態が生じると,(2)これを解消しようとする内的状態(動機motiveまたは動因drive)が起こり,(3)目標に向かって行動がひき起こされる,という過程をさす。さらにこの用語は,そのような過程を効果的にひき起こすための操作の意味でも使われる。従来動機づけは,生物の不均衡状態にもとづき,外にある目標によってひき起こされると考えられてきたが,近年,行動自体に内在する推進力によるものもあることが指摘されるようになった。前者を外発的動機づけ,後者を内発的動機づけという。
 学習指導にかかわる動機づけの操作を例にとると,外発的動機づけの代表的な方法は賞罰(飴とむち),競争,協同などである。これに対して内発的動機づけの例としては,既有の知識と矛盾するような知識を与えると学習者の内部に概念的葛藤が生じ,これを解消しようとする知的好奇心が発生して学習行動が活発化するという事実を利用するものが代表的である。この場合,学習を動機づける要因は学習自体とは本来無関係な賞や罰ではなく,学習活動そのものに含まれている。なお動機づけは教育においてばかりでなく,勤労者の勤労意欲 や消費者の購買意欲の喚起のためにも広く用いられる概念であり,操作である。茂木 俊彦 
経営学における動機づけ 経営学において問題となる主要な動機づけ(モティベーション)は,個人が組織に参加し,かつ働こうとするそれである。経営学はおよそ20世紀初頭に成立したが,動機づけ論は,アメリカを中心にその成立以来論じられてきた。1950年代に入るとアメリカで行動科学 が誕生し,隆盛する。これによって経営学における動機づけ論の展開はかつてなく活発化し,現在に至っている。現代経営学の動機づけ論は,基礎論的理論と実践論的理論に分けられる。前者については,おもな理論として組織均衡論,欲求理論,期待理論を挙げることができ,後者は,おもに動機づけ管理の伝統的アプローチ,人間関係アプローチ,人間資源アプローチから成ると考えられる。
 組織均衡論は,C.I.バーナード ,H.A.サイモン などの理論で,個人がどんな場合に組織に参加するか,またそれに従って組織はどのようにして存続できるかを論ずる。この理論によれば個人はより大きい満足を求めて組織に参加するとされるが,この満足の内容の手がかりを提供するのが,欲求理論である。欲求理論は人間の基本的欲求を論ずる理論で,動機づけの内容論ともいわれるが,A.H.マズロー の欲求階層説がもっとも著名である。しかし,動機づけの喚起に欲求は必要と考えられるが,十分ではない。そこで動機づけの過程論は,それがいかにして生ずるかを明らかにする。〈動機づけ=期待×誘意性〉とする期待理論は人間にもっとも適した動機づけの過程論とされ,主唱者としてV.H.ブルーム,E.E.ローラーらがよく知られる。
 動機づけ管理の伝統的アプローチは,20世紀初めのF.W.テーラー の課業管理論に代表される。金銭その他の物的報酬に刺激される人間に動機づけ管理の力点が置かれ,管理が論じられる。人間関係アプローチは,1920年代に始まったホーソーン実験に端を発する人間関係論 である。組織メンバーが人間関係を不可欠とする社会的動物としてとらえられ,その管理が論じられる。人間資源アプローチは,C.アージリスの未成熟-成熟理論,D.マグレガーのX理論-Y理論,F.ハーズバーグの動機づけ-衛生理論に代表される現代の理論である。組織メンバーが自律や達成を求める人間として,また個性や潜在能力の実現を求める人間として認識され,そのための管理として目標による管理 ,職務拡大,職務充実などが主張されている。経営・経営管理 二村 敏子 
 
     
    
        
    出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」 改訂新版 世界大百科事典について 情報  
	
    
  
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		世界大百科事典(旧版)内の 動機付けの言及  
    		
      【行動】より 
        
          
      …それを可能にするのは次のようなメカニズムであると考えられている。まず動物の内部で特定の行動に対する衝動driveまたは動機づけmotivationが高まる。そういう状態において適切な信号を伝える[リリーサー](解発因)に出会うと,[生得的解発機構]を介してその行動が解発されるというわけである。…
       
     
    		
      【経営・経営管理】より 
          
      …生産性を直接左右する要因は別にあるのではないか,もう少し合理的な要因が働いているのではないか,ということである。(2)従業員は快適な人間関係のなかで自然に仕事への[動機づけ]をするようになるとみなす傾向があり,職務や仕事そのものの意味,それに対する動機づけの関係がそれ自体としてとりあげられていないのではないか,しかも前者と後者は当然に同じものではないのではないか,というものである。 (1)(2)ともに理論的な批判であると同時に実践的な批判を含んでいる。…
       
     
    		
      【行動】より 
          
      …それを可能にするのは次のようなメカニズムであると考えられている。まず動物の内部で特定の行動に対する衝動driveまたは動機づけmotivationが高まる。そういう状態において適切な信号を伝える[リリーサー](解発因)に出会うと,[生得的解発機構]を介してその行動が解発されるというわけである。…
       
     
    		
      【昇進制度】より 
          
      …したがって,より高い職位には,その強い権限の行使にふさわしい能力・資質をもった人物を選任することが必要である。またこの高い職位への適材の任命機会が組織体のメンバーに公平に開かれており,任命が客観的基準にのっとったものであるならば,有能な意欲的な人材の昇進への強い[動機づけ]が行われることとなる。このため昇進にあたっての人選の基準・方法を客観化し,公平性と納得性を目的とした昇進制度が確立される。…
       
     
         ※「動機付け」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 
        
    出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」 
	
    
  
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