利松村(読み)としまつむら

日本歴史地名大系 「利松村」の解説

利松村
としまつむら

[現在地名]五日市町利松

おにじよう山の北西河内こうち川の左岸にある。北部および東南部は山地で、南西河内川と東北の石内いしうち村とへ向けて平地が開け、集落が展開する。村内には近隣諸村の飛地が入交じる。字郡橋こおりばし付近一帯は古代の佐伯郡衙の所在地に比定される。こおり古保理こぼり北郡きたこおり・東郡・郡越こおりごえ郡佐古こおりさこなどの地名があり、倉田くらたは貢納稲を納める郡衙の正倉のあった所と推定されている。また「延喜式」(兵部省)にみえる山陽道の大町おおまち駅および「和名抄」記載の大町郷の地に比定され、大町駅は伴部とも(現広島市安佐南区)種篦へら(現廿日市町)との間にあり、郡衙所在地との関連からも当地とする説が有力である(五日市町誌)中道なかみちは古代山陽道に関連する地名であろうか。

嘉禎四年(一二三八)七月日付の安芸国佐西郡三ケ年作田所当進未注進状(新出厳島文書)に「佐西郡解申注進嘉禎元二三ケ年作田所当官物進未引付事」として「利松八丁百廿歩」が応輸田のうち別結解とされており、国衙領に属していたが、事実上は厳島社領化が進んでいたと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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