ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「制作座」の意味・わかりやすい解説
制作座
せいさくざ
Théâtre de l'Oeuvre
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…〈夢〉がこのような演劇の特権的な空間と考えられる限りにおいて,それはしばしば〈夢幻的な劇〉の相を帯び,その意味で,メーテルリンクの《マレーヌ姫》(1889)と《ペレアスとメリザンド》(1893)も,作者自身の説く〈いささかめしいた夢遊病者〉の生きる〈日常性のなかの悲劇性〉によって,象徴派に歓迎された。 A.アントアーヌの自由劇場がゾラの自然主義演劇論を根拠にした前衛運動であったように,詩人フォールPaul Fort(1872‐1960)の〈芸術劇場Théâtre d’Art〉(1890創設)と,次いでリュニェ・ポーの〈制作座Théâtre de l’Œuvre〉(1893創設)は,象徴主義演劇の神殿たろうとした。背景幕だけの抽象的舞台で,時代や場所に制約されない普遍的な〈魂の劇〉を詩句によって表現しようとするリュニェ・ポーの美学は,イプセン(《ロスメルスホルム》)など北欧作家の上演と相まって,非現実的・夢幻的演戯を生んだ。…
…学生時代からA.アントアーヌの自由劇場にかかわっていたが,コンセルバトアール(国立演劇学校)を卒業後,象徴主義の詩人ポール・フォール(1872‐1960)らが創設した芸術座に加わった。1893年にM.メーテルリンク《ペレアスとメリザンド》を初演出するとともに,芸術座を制作座に改名して引き継ぎ,その指導者となった。H.イプセン,B.ビョルンソン,A.ストリンドベリ,G.ハウプトマン,G.ダヌンツィオなどの作品を演出したが,彼の名が演劇史上に残るのは,96年,のちの前衛劇の祖型ともされるA.ジャリ《ユビュ王》の初演によってである。…
※「制作座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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