改訂新版 世界大百科事典 「リュニェポー」の意味・わかりやすい解説
リュニェ・ポー
Aurélien Lugné-Poe
生没年:1869-1940
フランスの俳優,演出家。劇団主宰者。学生時代からA.アントアーヌの自由劇場にかかわっていたが,コンセルバトアール(国立演劇学校)を卒業後,象徴主義の詩人ポール・フォール(1872-1960)らが創設した芸術座に加わった。1893年にM.メーテルリンク《ペレアスとメリザンド》を初演出するとともに,芸術座を制作座に改名して引き継ぎ,その指導者となった。H.イプセン,B.ビョルンソン,A.ストリンドベリ,G.ハウプトマン,G.ダヌンツィオなどの作品を演出したが,彼の名が演劇史上に残るのは,96年,のちの前衛劇の祖型ともされるA.ジャリ《ユビュ王》の初演によってである。またこのころ,O.ワイルドの《サロメ》もプロデュースしている。経済的事情から制作座は99年いったん活動を停止したが,1912年に活動を再開,再開に当たってはP.クローデル《マリアへのお告げ》を初めて舞台に紹介した。俳優としての彼も,J.ルナール《にんじん》の父親などの名演によって世界的に知られた。
執筆者:利光 哲夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報