刺す竹の(読み)サスタケノ

デジタル大辞泉 「刺す竹の」の意味・読み・例文・類語

さすたけ‐の【刺す竹の】

[枕]《「さすだけの」とも》「君」「皇子みこ」「大宮」「舎人とねり」などにかかる。「さす」は生え伸びる意で、竹が勢いよく生長するところから、君・宮廷をたたえる意で用いたものという。
「―大宮人の踏みならし通ひし道は」〈・一〇四七〉

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精選版 日本国語大辞典 「刺す竹の」の意味・読み・例文・類語

さすたけ‐の【刺竹の】

  1. ( 「さすだけの」とも )
  2. 「君」「大宮人」「皇子(みこ)」「舎人男(とねりおとこ)」などの宮廷関係の語にかかる。かかり方未詳。
    1. [初出の実例]「親無しに 汝生りけめや 佐須陁気能(サスタケノ) 君はや無き 飯に飢て 臥せる その旅人あはれ」(出典:日本書紀(720)推古二一年一二月・歌謡)
    2. 「そこ故に 皇子の宮人 行方知らずも〈一に云ふ刺竹之(さすたけの)皇子の宮人ゆくへ知らにす〉」(出典:万葉集(8C後)二・一六七)
  3. 「よごもる」にかかる。
    1. [初出の実例]「刺竹(さすたけの)よごもりてあれ吾が背子が吾がりし来ずは吾恋ひめやも」(出典:万葉集(8C後)一一・二七七三)

刺す竹のの補助注記

は、「瑞枝さす」「五百枝さす」などの「さす」と同語で、竹が勢いよく生長することから宮廷をほめたたえる事柄に用い、それを舎人などにも転用したと考えられる。は、「さすたけ」を「刺竹」と解して竹の節(ふし)を「よ」というから、同音を含む「よごもる」にかかるか。一説に「さすたけのよ」までを「こもる」の序詞とする。

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